早朝、スラバヤ・ジュアンダ国際空港に到着しました。ここからマランへ向かうためには、まず国営DAMRIバスに乗り、プラバヤバスターミナル(Terminal Purabaya)に向かう必要があります。空港を出た瞬間、あちらこちらからタクシー運転手たちの熱烈な呼び込みが始まりました。「どこに行くの?タクシーならすぐに乗れるよ!」と、次々に声をかけられますが、私は事前に調べておいたDAMRIバスの方が圧倒的にリーズナブルであることを知っていたので、迷わず空港バス停へ向かいます。
バス停は空港の到着口の端にあり、DAMRIバスが停まっているのがすぐに見つかりました。バス停に着くと、小さなチケット窓口があり、そこでバス料金の35,000ルピアを支払います。チケットの価格設定が非常に良心的で、空港からプラバヤバスターミナルまでスムーズに移動できることにほっとしました。乗車してみると、バスは適度に空いていて、半分くらいの乗車率。ですが、しばらく待っていると、続々と乗客が乗り込んできて、最終的にはほぼ満席に。
スラバヤ空港から市内へは、鉄道の選択肢がなく、バスかタクシーに頼らざるを得ません。タクシーを利用すると、空港を出るだけでも100,000ルピア以上かかることがあるので、DAMRIバスのコストパフォーマンスの高さには驚きです。スラバヤのような大都市でさえ、空港鉄道が整備されていない点は意外でしたが、その分バスの需要が高いことも理解できます。20分ほどのバス移動で、ようやくプラバヤバスターミナルに到着しました。
プラバヤバスターミナルは、スラバヤ市の南東、約14kmの位置にある広大なバスターミナルで、正式にはターミナル・ブンガラシとも呼ばれています。このターミナルは、1991年に設立され、2022年に中央政府に運営が移管されました。広さ約12ヘクタールを誇るこのターミナルは、スラバヤの交通の中心地として、都市間バス(AKAP)や州内バス(AKDP)など、多くの路線を網羅しています。
ターミナル内は一見すると少し混沌としているように見えますが、よく見ると売店やカフェが点在しており、地元の人々が立ち寄ってコーヒーを楽しむ姿が見受けられます。
初めての訪問者には、どこで何をすればよいのか少し混乱するかもしれません。私もマラン行きのバスを探して、ターミナル内を少し彷徨いましたが、親切なスタッフが声をかけてくれたおかげで、無事にバス乗り場へたどり着くことができました。
バス乗り場でスタッフに「マラン、マラン」と言われるがままに進んでいくと、スタッフが私をバスまで案内してくれました。どうやら切符はバスの中で直接支払うシステムのようです。やっとのことでバスの席を見つけ、自由席であることを知りました。足元が出口に面している席に座り、なんとも便利なポジションだと感じました。出発は相変わらず時刻表などなく、乗客が満席になるまで待つスタイル。これもインドネシアならではのゆったりとした雰囲気でしょうか。
バスが発車する直前、次々と物売りたちが乗り込んできました。
ギターを持って歌いながらお金を求める男性、いきなり爪切りを手にして「買ってくれ」と迫ってくる人、さらにはピーナッツを売り歩く物売りまで、バスの中は一瞬にして市場のような賑やかさに変わりました。
商売熱心な彼らの中でも特に印象的だったのは、何度も商品を勧めるもののほとんど売れず、最後には少し寂しそうな顔をしてバスを降りていく姿です。このような体験ができるのも、バス旅ならではの面白さだと感じました。
バスが満席になり、ついにマランへ向けての旅がスタートしました。バスターミナルを出るとすぐに高速道路に入り、スピードを上げて走り出しました。料金徴収のスタッフがやってきて、1人あたり40,000ルピアを徴収。約100kmもの距離を考えれば、この料金は非常にお得です。支払いは現金のみでしたが、迅速な対応でストレスフリーに感じました。
道中、東ジャワの山々が美しい景色を見せてくれます。青々とした丘陵地帯や、遠くに見える火山のシルエットが目を引き、バスの窓からの景色を楽しみながらの快適な旅。景色を眺めているうちに、マランまでの道のりがあっという間に感じられました。バスの中では地元の人々が静かに会話を楽しんでいたり、眠っていたりと、それぞれがリラックスして過ごしている様子が印象的でした。
スラバヤを出発して約1時間15分、高速道路を降りてマランのバスターミナルに到着しました。マランの街は、スラバヤとはまた違った涼しい空気が流れており、緑豊かな風景と穏やかな雰囲気に包まれています。バスを降りると、どこかホッとした気持ちと、これから始まる新しい都市へのワクワク感が入り混じります。
マランは、その美しい自然環境や文化的な魅力で知られる都市で、ブロモ山観光の拠点としても人気です。これからの旅がどのような体験をもたらしてくれるのか、どんな新しい発見があるのか、想像するだけで心が弾みます。スラバヤからの面白すぎるバス旅で感じたユニークなインドネシアの雰囲気を胸に、マランでの新しい一歩を踏み出します。