マンディ(Mandi)はインドネシア語で「水を浴びる」という意味です。インドネシアにおけるお風呂、つまりマンディは、ただの日常作業ではなく、環境と文化が結びついたライフスタイルの一部を形成しています。この習慣は、地域に根ざした生活と社会との調和を重視する姿勢を我々に教えてくれます。
インドネシアの一般家庭では温水が利用できないことが多いです。マンディ専用のシャワールームが設けられているわけではなく、トイレの隣で水浴びをすることが一般的です。トイレの脇に置かれた水桶から手桶を使って水をすくい、石鹸で体を洗います。
使った水の量は少なめなので、使用後に蛇口から補充することもあります。
家には高度な設備のお風呂場があるわけではなく、シャワーから温水が出るわけでもありません。そのため、桶に汲んだ水をかぶって体を洗うのです。これはシンプルながらも水を節約する上で効果的な方法です。通常、シャワーを使用すると1分間に約12リットルの水を消費しますが、マンディでは1回に数リットルしか使わないため、エコロジー的にも優れていると言えます。多くの家庭が地下水を利用しており、水が豊富に利用できるわけではないのです。ただ、最近では一般家庭にもシャワーが広く普及してきました。
日本人がお風呂に求めるのは、一日の疲れを洗い流しリラックスすることです。夜、湯船に浸かるのが一般的ですし、朝のシャワーは目覚めの一環として利用されがちです。対照的にインドネシアでは、マンディを日に何度も行うのが普通で、これは汗や汚れを洗い流すエチケットとして、また暑い気候に適応するための生活の知恵として行われています。
「マンディをしない」と言うと、他人から悪い印象を受けることがありますので、皆がきちんとマンディすることを心がけています。これは「身だしなみを整えている」というメッセージと受け取られるでしょう。
朝起きたらすぐに水浴びをし、1日を爽やかにスタートさせますが、ただし、暑い中を歩いて帰った後にすぐに冷水で身体を冷やすのは避けます。体が暑さに反応しているときに冷たい水をかぶると、体が「また暑いのか?」と勘違いすることがあるからです。そのため、少し時間を置いてからマンディをするのが一般的です。
このように、インドネシアのマンディ文化は独特ですが、日本人にとっても新しい発見や学びがあるかもしれません。インドネシアに訪れた際には、ぜひこの文化を体験してみてください。