「マサコ」「サオリ」「マユミ」という名前は、日本人女性では良くある名前ですが、インドネシアでは、誰もが知っている名前です。そんな有名な日本人いたかな?と思うでしょうが、実は、これは日本人の名前ではなく、インドネシア味の素社が開発した、調味料の名前です。
インドネシアのスーパーやコンビニには必ず陳列されており、インドネシア人の人気の家庭用調味料だけでなく、レストランからローカルの屋台まで幅広く使われている調味料です。インドネシアでは、知らない人がいないくらい有名な日本を代表する商品となっています。
「Masako(マサコ)」はインドネシア語の「masak(マサック)」=料理するという言葉に由来していて、現地語をうまく日本人の名前にして親しみやすくした事から、1989年の発売以来、インドネシアの調味料市場で多く支持されています。
「マサコ」はコンソメ味に近い味ですので、インドネシアの定番料理のナシゴレン(焼き飯)、ミーゴレン(焼きそば)はもちろん、野菜炒め、スープのだしにも使えるので、あらゆる場面で使われています。味は、チキン味と、ビーフ味があります。
「マサコ」の旨味を引き立たせている、たっぷりと配合されたグルタミン酸を、インドネシア人は、日本ではありえない位大量に料理に使用している姿を良く見ることができます。とにかく、全ての料理に入っているのではないかと思う位「マサコ」味がインドネシアの味になっています。あまりにも美味しいので、誰が作ってもハズレない料理が可能です。
今まで、インドネシアを含む日本以外の国では、日本人独特の感性である「旨味」という感覚は理解されていませんでしたが、「マサコ」の主成分であるグルタミン酸、いわゆる「味の素」が入っている事で、「旨味」=美味しいという感覚をインドネシアで広める事ができたのです。
「マサコ」のヒットから、
「Saori」(サオリ:sauce orientalを短縮)、は照り焼きソース味、
「Mayumi」(マユミ:mayonnaise yummyを短縮)はマヨネーズ味
と商品ラインナップを揃えて、インドネシアの食卓に欠かせない調味料になりました。
これらの商品がインドネシアでのシェア拡大に成功した理由としては、ハラル認証を取得したことが挙げられるでしょう。インドネシアはイスラム教徒が多い、世界有数のイスラム大国です。
このようなお国柄に合わせハラル認証を取得したことは、インドネシア人にとって「マサコ」は安全・安心の信頼度の高い商品だと証明していることになります。
サイズも小袋から業務量まで幅広いサイズで販売されており、インドネシアのローカルでも使いやすい価格で提供しており、インドネシアで最も成功した日本食の事例となっています。
「マサコ」や「サオリ」、「マユミ」といった味の素の娘シリーズは、日本人女性の名前を商品名にしてインドネシアで販売したことにより、日本のイメージを表現した秀逸なアイディアで、インドネシア人にとって日本の存在はより身近に感じられるようになりました。
今やインドネシア人にとって、これらの調味料は欠かせない必需品となっています。これからも、インドネシア版の「旨味」が定番となって、食文化に根付いていくことでしょう。