インドネシアで、お祝い事に欠かせないのが、ナシトゥンペンです。ご飯を山の様に盛って、ご飯の山の周りにおかずを載せた料理です。結婚式や誕生日などのお祝い事をする時によくでてきます。
ご飯とおかずがケーキの様に盛られ見ているだけで気持ちが晴れやかになる料理をご紹介します。
まず驚くのは色です。ナシクミン(nasi kuning)といい、インドネシア語でナシは「ごはん」、クニンは「黄色」を意味していて、鮮やかな黄色いご飯の山ができています。
もち米をターメリックとココナッツミルクで炊いて、香りづけにレモングラスやコブカミンなどのハーブも入っているそうです。
インドネシアでの祝い事は、黄色がラッキーカラーだそうです。
日本でいうと、赤飯と同じ意味合いですね。
ご飯の山の事をナシトゥンペン(nasi tumpeng)といい、これは宗教的に神聖な山の形にして神への感謝をあらわしたものです。ご飯の山はなんと高さ20センチ以上もある美しい円錐形に形つくられていて、周囲におかずや飾り切りをした野菜、花が添えられていて、何とも色鮮やかな華やかな盛り方です。
ナシトゥンペンは神聖なものである山を表しているのですが決まりはなく、中部ジャワのボロブドゥル型も流行った事があるそうです。つまり、ナシトゥンペンを階段ピラミッドのようにかたちづくるということらしいです。
工場改修完了記念で、ナシトゥンペンを食べる機会がありました。海外協力事業で、工場の改修を進めていて、機材も導入し今後の繁栄を記念したイベントを開催してもらいました。
通常は、誕生日、送別会、家族のお祝い、独立記念日など、特別な機会を祝う縁起物の料理として出される事が多いそうです。
ナシトゥンペンは感謝の象徴であり、感謝の儀式では、工場長がお祈りした後、ナシトゥンペンの上部が切り取られ、最も重要な人物に届けられます。
一番上の部分を食べる役に抜擢され、神聖な気持ちでナシトゥンペンを味わうことが出来ました。その後、式典に参加するすべての人に配られ、一緒に食事を楽しみます。
ナシクミンを食べるともち米にココナッツの風味がして甘みとほのかな塩気が相まって味わい深いです。素朴な味であるが、奥行きのあるしっかりとした味に感心していたが、材料のちょっとした量の加減や蒸し時間で味や食感ががらりと変わる調理らしく、調理が難しいそうです。
円錐形のナシトゥンペンは生命と生態系の神秘的なシンボルです。それはまた、自然の創造主としての神の栄光を象徴し、おかずと野菜は自然の生命と調和を表しています。
本格的なナシトゥンペン料理には、
少なくとも1つ含まれている必要があります。
ほうれん草はジャワの農業社会における繁栄の伝統的な象徴であるため、ほうれん草が添えられます。
色とりどり素材やおかずのきれいな盛り方は、全て意味があり、日本でもお正月におせち料理を食べるのと一緒です。
おせち料理も収穫物の報告や感謝の意をこめ、その土地でとれたものをお供えしていたようですが、暮らしや食文化が豊かになるに従い山海の幸を盛り込んだお正月のご馳走になりました。
おせち料理もナシトゥンペンも、五穀豊穣や子孫繁栄、長寿と金運を願うなど、土地が違えども、哲学的な思想は日本もインドネシアも一緒です。
大きなナシトゥンペンに出会うのは、なかなかタイミングもあるので、一般の旅行者では出会えない事も多いのですが、レストランによっては、1人前のナシトゥンペンの料理を出してくれるところがあります。
トゥンペン・プチといって、白いご飯の山もあり、白色がジャワ文化の神聖さを象徴しているため、白米を使用しているものもあります。
メニューにあった場合は、注文してみるのも良いでしょう。
インドネシア人になったつもりで、お祈りしてから味わってみてはいかがですか。