2020年、新型コロナウイルスの蔓延で人々の生活はもちろん、ビジネスの在り方も変化してきています。そして新型コロナウイルスが収束する「アフターコロナ」となった時に元の生活に戻るとは限りません。そんな中、「ニューノーマル」という考え方が提唱されてきています。
ニューノーマル(new normal)は、直訳すると「新たな常態・常識」のこと。経済や社会が大きな打撃を受けると、それらに構造的な変化が起こり、事態が収束しても以前の姿には戻れないという考え方です。2008年に発生したリーマンショックの際、アメリカのエコノミストであるモハメド・エラリアン氏によって提唱されました
つまり、何か大きな変化があり、それまでの普通の状態が普通でなくなり、新しい常識が定着する状態のことを指します。
大きな視点で言えば国のあり方、資本主義の考え方、身近なところでは生活習慣や働き方、学習方法などが、これまでとは大きく変わっていくことになります。
今までの常識がこれからの非常識となることもあり得ますので、新しいものを受け入れて、うまく生活していくことが重要です。
生活においても外出時は常にマスクをするもの、人の密集をなるべく避け、街中でも他人とは1〜2mほど間隔を空ける事。スーパーやコンビニのレジに並ぶときは一定の間隔を空けることも、今では当たり前のようになっていて、反する行動は「常識がない」と思われる可能性もあります。
仕事においても、満員電車を避けるために時差通勤が行われ、特に必要なければ在宅勤務を行う事が多くなってきました。
在宅勤務を行った結果、それほど業務に支障がないと判断した企業は結果的にオフィスに出社せずにビジネスをすることがニューノーマルになっていく可能性があります。
業務プロセスもリモートワークをベースにしたものに変化していくでしょう。
フルリモートワークでも仕事のパフォーマンス(商談の達成件数など)は下がることなく、多くの社員が「むしろ実感としてはパフォーマンスが上がっている」と考えていることがわかってきました。
さらに、対面でやり取りできない分、意識的にコミュニケーションを取ろうという機運が高まり、情報共有の在り方も改善されたといいます。
リモートワークのメリットはこれまでも指摘されてきましたが、実際にリモートワークを実施せざるを得ない状況になり、そのメリットを実感した企業は多いかもしれませんね。
海外に拠点を置きグローバルビジネスを展開する企業は今、さまざまな課題に直面しています。
その一つに、国境をまたいだ移動の制限があります。
日本から海外へ人材を派遣できないため、従来の「本社の人間を現地に送り、出張や駐在によって海外子会社の管理や業務支援をする」手法が難しい事です。
今後は、日本人駐在員が現地にいないことを前提とした管理体制が必要になってきました。
昨日もインドネシアとリモートで結び、現地企業との面談を行いましたが、対面で行うレベルと同等のコミュニケーションが可能でした。
これまで、現地側とお互い信頼関係を築きあげてきたおかげで、今回のリモートでの交渉においても、この要求は了承できるが、これ以上は無理であるという、線引きができたことで一定の成果がでた要因が大きかったと思われます。
もちろん、商売においてお互いWINWINでないと成り立たないですが、条件、譲歩、提案をうまく使い分けて交渉する事が成功の秘訣でした。
実際問題、現地の情勢の変化や、企業役員変更、担当者の異動なども起こってきており、方針変更のため、今までの信頼関係が薄れてくる可能性もあります。
ニューノーマル時代の変化についていつまでも日本から遠隔で現地側をコントロールする事には限界がありますので、サプライチェーンを現地で完結させる経営の現地化の動きはさらに加速するでしょう。
コロナ収束後のニューノーマルは、それ以前の常識とは大きく異なる点も多くあります。ビジネスモデルや働き方の変化には負担も伴いますが、必ずしも元に戻れないことを悲観する必要はないのかもしれません。
コロナを機にやむを得ず変化した社会や経済の在り方が本当の日常になったとき、この困難を乗り越えられたといえるのかもしれませんね。