【インドネシア】ナツメグ生産量世界一!以前は金より高価だった!
ナツメグは四大香辛料のひとつです。
実は、インドネシアはナツメグの生産量は世界一なのです。「ナツメグ」は日本ではハンバーグに入れる香辛料として多くの人になじみがあります。
海外に目を向けてみると、ハンバーグ以外にも、ソーセージやミートソース、ミートパイなど世界各国の様々な肉料理に使われています。
本日は、あまり知られていないナツメグについてお話します。
ナツメグとは
ナツメグはニクズク科の種子から作られます。黄色い果実が実り、熟すと実が裂け赤い格子状の仮種子が見えるようになります。
同じ木の実から、ナツメグ(種子)とメース(仮種皮)の2種類の香辛料がとれます。
種子を乾燥させ、種を割り仁だけ取り出してすりつぶしたものがナツメグです。メースもナツメグに似た香辛料として使われます。
ナツメグは昔から東洋では薬として珍重され、漢方では「ニクズク」と呼ばれます。
強い香りが特徴
ナツメグは、甘く刺激のある香りで主に肉料理や焼き菓子などのお菓子にもよく使用されています。
じっくり加熱することで、香りがより引き立ちます。
ほかにもいろいろな料理やお酒にもよく合う「使い勝手の良さ」がナツメグの特徴です。
強い香りを持っていて、一度に大量に使用すると薬臭くなってしまうため、少量ずつ加えるのがコツです。
中毒性がある
ナツメグの大量摂取は危険と言われています。ナツメグを大量摂取することで、吐き気、めまい、動悸、口の渇き、幻覚症状が現れ、最悪の場合死亡してしまうケースもあるということです。
ハンバーグやカレー、お菓子作りに日常的に使用されるナツメグですが、レシピ通りの分量を必ず守って使用するようにしましょう!
ナツメグに限らず大量に食べると危険な香辛料もありますから、おいしいからと言って食べ過ぎには注意しましょう。
インドネシアが生産量世界一
ナツメグの原産地は元々インドネシアのマルク(モルッカ)諸島でしか産出できませんでした。マルク諸島は別名「香辛料諸島(スパイス諸島)」と言われ、16~17世紀にはポルトガル、スペイン、オランダ、イギリスが激しくその利権を巡って争うことになります。
現在でもインドネシアで産出するナツメグの生産量は世界一(2019年43,970トン)です。
ナツメグの歴史
人類は文字をもつ前から、香辛料を使っていたといわれます。紀元前のエジプト、ギリシャ・ローマ、中国(漢)には香辛料についての記録があり、薬用、神仏用、媚薬、保存剤などとして珍重されていました。
その後、東西交易によるシルクロードの発達で、東南アジア産の香辛料が、欧州に渡るようになります。当時欧州では、香辛料はとても高価で、金銀と同じ価値があったとされています。
香辛料で最も利益を得ていたのが、東西交易路の中継地であったアラビアの商人です。陸路を押さえて価格を吊り上げ、香辛料の原産地を隠し通すことで利益を独占していました。
金銀財宝につながる香辛料の原産地探しは、マルコ・ポーロによる「東方見聞録」を契機に香辛料の中でも特に入手困難だった胡椒、クローブ、ナツメグ、シナモンなどを生産する東洋に憧れを抱き、欧州人の大航海時代へとつながっていきます。
ナツメグを欧州へ大量に持ち込んだのはマゼランでした。マゼランは、南アメリア南端(マゼラン海峡)に航路を見出し、西回りで太平洋の横断に成功。マゼランは途中のフィリピンのセブ島で亡くなってしまうのですが、5隻で出発したマゼラン船団は、香料諸島と呼ばれたインドネシアのマルク(モルッカ)諸島にも到達し、クローブ、ナツメグなどを持ち帰ります。
1522年にスペインに帰り着いたのは「ヴィクトリア号」1隻だけで、ナツメグ、メース、ほかにクローブなど沢山の香辛料が摘まれていました。この香辛料は、失った犠牲以上に莫大な利益があったということです。また、この航海は初めて世界一周を達成し地球が丸いことも証明されました。
現在でも高級品
現在でもナツメグはパウダーで13,000円/Kg前後、メースは20,000円/Kg前後もします。その昔ロンドンではメース500gに対して羊3頭の値が付いたと言われています。
今も昔も価値の高い香辛料を求めて、海洋貿易路が開拓され、薬用や肉の保存用としての使われ方から、味や香りを楽しむ食文化の方向へ発展したことを考えると、命がけでインドネシアまで訪問した欧州人の執念を感じます。
現在では、貴重な香辛料が手に入りやすく、普段の食卓にも並ぶようになって良い時代となりました。