リモートワークやオンライン会議が当たり前になった今、地理的な距離を超えてコミュニケーションできるのは本当に便利ですよね。私自身、海外拠点にいるので、本社とのやり取りはほぼWEB会議に頼ってきました。週に一度は顔を合わせているからこそ、「ちゃんと話せているはず」「やりたいことは伝わっているはず」と思い込んでいたのです。
ところが、セミナー登壇のために日本に一時帰国することになり、本社メンバーと実際に会って話す機会を設けました。すると、オンライン会議だけでは見えてこなかった課題や、こちらの思い込みによるすれ違いが、意外なほどたくさん浮き彫りになったのです。
特に印象的だったのは、本社の会議室で午後から議論を重ねた後、居酒屋でさらに飲みながら語り合ったこと。この「濃密な時間」がインドネシア事業の方向性をグッと前に進めてくれました。今回は、そんな実体験を通して感じた「オンラインじゃ届かない本音」と、それを引き出すための対面コミュニケーションの意義について共有したいと思います。
オンライン会議を毎週行っていると、「これだけ頻繁に顔を合わせているんだから大丈夫だろう」と安心してしまいがちです。私も本社とインドネシア現地法人をつなぐ役割として、「情報はちゃんと共有している」「目標はそろっている」と思っていました。
ところが、いざリアルで話してみると、「えっ、そこがまだクリアになってなかったの?」「私たちはこんな認識だったけど、そっちは違ったんだ?」といったズレが次々に出てきたんです。たとえば事業方針の優先順位、本社から期待される成果の具体的なイメージ、現地スタッフの状況などなど……。オンライン会議で一度は話題にしたはずのトピックも、振り返ってみると「断片的」にしか共有できていなかったんですよね。
やはり、短時間のWEB会議ではアジェンダを追うのがやっとで、それ以上の踏み込んだ話や「微妙なニュアンスの確認」まではできていなかったのだと思います。さらに、カメラ越しでは相手の表情や雰囲気がわかりづらく、リズムを合わせて雑談をするような流れにもなりにくい。結果として、「聞いてるのかな?」「もう一度説明したほうがいいのかな?」といった戸惑いが積み重なり、話を深める前に時間切れ……ということもしばしばありました。
今回、本社の取締役4名が全員集まったタイミングで、まずはオフィスの会議室で話し合い、そのあと場所を居酒屋へ移してさらに深く語り合うことにしました。結局トータルで6時間以上。もう途中から何を話しているのか分からなくなりそうなほどでしたが、その時間がなかったら気づかなかった本音や想いがいくつも出てきました。
会議室だとまだ“ビジネス”の空気が張り詰めているので、それなりにかしこまったやり取りになります。でも居酒屋でお酒が入ると、リラックスした雰囲気の中で「実は、こんなところに不安がある」「正直、ここがうまくいかない原因だと思っていた」といった本音がポロッと出てくるんですよね。やはり、この“空気感”はオンライン会議では再現しにくいものだと実感しました。
オンライン会議って、1時間前後が基本ですよね。長くても2時間だと思います。しかも、延長が難しかったり、「次の予定があるから」と途中退席が発生したり。そうなると、じっくり意見を掘り下げる前に時間が来てしまいます。
でも居酒屋で6時間といえば、途中で話題が変わってもまた元に戻ってきたり、突拍子もないアイデアから新たな可能性が見えたりと、長時間ならではの展開が待っています。「わざわざ集まって時間を取っている」状態だからこそ、別の視点から議論を深める余裕も生まれます。
印象的だったのは、直接話をすることで決断が早まったことです。オンライン会議だと、「次回検討」といった流れが挟まれて、結果として次回の会議まで結論が先延ばしになってしまうことも多かったんですよね。でも今回は、現地での話を、熱量たっぷりに直接伝えられたのが大きかった。「それなら、すぐに動かそう!」とその場でゴーサインが出る流れを見て、「やっぱり対面の力って大きいなあ」とあらためて思いました。
オンラインは効率的な情報共有に
まずは、日々の報告や簡単な進捗確認など、効率重視のタスクはオンラインで完結してOKだと思います。時間や移動コストを削減できるのはやはり大きなメリットですし、いつでもサクッと集まれるのはありがたいですよね。
重要な決断や方向性のすり合わせはできるだけ対面で
事業の大きな方向性を決めたり、腹を割った話が必要だったりする場合は、ぜひオフラインでの場を作ってみてください。特に海外と本社のように距離がある場合はなかなか難しいですが、「ここが正念場だ」というタイミングが来たら、思い切って帰国して対面の時間を確保する価値は十分にあると感じています。
リラックスできる場は意外と大事
会議室だけでなく、居酒屋やカフェなどお互いにリラックスできる場を活用するのもおすすめです。お酒が入ると話しやすくなる人もいれば、飲めなくても座敷やソファでまったりできる空間で本音をポロッとこぼすこともありますよね。あえてフォーマルじゃない雰囲気を作ることで、意外な発言やアイデアが飛び出すかもしれません。
今回の滞在は短いものでしたが、6時間以上語り合ったことで、インドネシア事業への取り組み方が大きく変わる予感があります。オンラインで毎週話していたにもかかわらず、こんなにもズレがあったのかと正直驚きましたが、逆に考えれば「実際に会えば、こんなにすぐに解消できるんだ」と希望も感じました。
リモートワークが一般的になった時代だからこそ、オンラインとオフラインの両方の特徴を理解し、上手に使い分けることが大切なんだと思います。便利さやコストだけでなく、ときには遠回りに見える「対面の時間」が、ビジネスの未来を切り拓くカギになる──そんなことを実感した、今回の帰国と膝詰めディスカッションでした。