メキシコのオーガニック野菜を日本に広めるために、日本で会社を設立して初めて展示会に参加しました。コロナ禍で、感染者が増えている状況の中、来場者は、3日間で5806名の来場者で終了しました。
昨年来場者の約50%減でしたが、その分バイヤーとの内容の濃い商談ができたのではないかと思われます。
世界はオーガニックの時代になっていると言われていますが、日本ではあまりオーガニックが取り上げられることが少ないような気がします。
世界に比べ、日本はオーガニックに対する意識が低く、まだまだ人々の生活にオーガニックが浸透していないと感じました。
一部の人には、オーガニック=おしゃれなもの、流行しているものと感じ取られてしまい、オーガニックは敷居が高く、価格も高いので、一部の特別な人のためのものと認識されているようにも感じました。
オーガニックを選択する理由として
などの印象をもたれるのではないでしょうか。
農林水産省が行なった調査によると、日本の有機食品市場は、1,850億円(2018年推計)となっています。民間企業が行った2009年度の調査に対し42%拡大しているようです。
農林水産省では、有機農産物を取り扱う流通加工事業者の動向も調査しており、以下の結果となりました。
有機農産物の取扱いについては
「現在取り扱っている」 21.2%
「今後取扱いと思う」 42.2%
有機農産物を取り扱う理由について(複数回答) 「安全だと思うから」 82.9% 「消費者が求めるものだから」 56.9% 「環境に配慮した農業をしている農業者を応援したいから」32.7%
今後の需要について
「拡大する」 44.7%
「変わらないと思う」 32.5%
「縮小すると思う」 2.7%
農林水産省農業環境対策課がまとめた「国内スーパーマーケットにおける各種売り場の設置状況」では、「オーガニック食品のコーナー」の設置割合も増加傾向にあります。
今後の設置については、 「新たに設置したい」 9.9% 「設置数を増やしたい」 18.6%
全体の約3 割を占める小売事業者が設置の意向を示しています。
こうしたさまざまな取り組みがされているにもかかわらず、日本でなかなか有機食品の普及が進まない最大の理由は消費者にあるかもしれません。
穴があいていなく、形が整ったきれいな農産物が、よい農産物であると信じていて、消費者が美しい農産物を求めることもあって、日本の農家は完璧な農産物を作ることに専念しています。
また、値段が安い商品に慣れすぎてしまい、オーガニック食品の品質や機能などよりも価格の対する抵抗感が根強いことが要因です。
ドイツ・イギリス・アメリカ・オーストラリアなどのオーガニック先進国は、すでに100年近くオーガニックに関わって歴史が非常に長く、オーガニック製品の知名度や人気は、必然的に高くなっていると言えるかもしれません。
欧米各国が、積極的に有機農業のベース作りに取り組んだというような背景もあるかと思います。
また、欧米人が持つ強い信念を持つことが誰にとっても自然であるという宗教的な背景もあると思います。自分が信念とすることを躊躇なく公にする欧米では、社会全体に影響を与えるようなインパクトのあるムーブメントも起こりやすい傾向にあります。
オーガニックへの認識が高いだけではなく、菜食主義(ベジタリアニズム)・絶対菜食主義(ヴィーガニズム)などのマイノリティの認知度も高いと言えます。
確かに欧米では、大型オーガニックスーパーマーケットやオーガニック専門店も多く、オーガニックブランドも多く存在します。
しかし実際には、何となく体に良さそうだからオーガニック食材を買っている、レトルト食品がずらっと並ぶ一般的なスーパーよりもオーガニックスーパーの方が、品揃えが良いなどという意見もあります。
私たち日本人は、欧米では多くの人々が食品や環境への関心が高いのだろうと思いがちですが、実際には欧米にいる全ての人が崇高な考えの元にオーガニック食品を正義感から選んでいるのではないということを知ることも大事です。
ただ欧米に倣うのではなく、私たちは私たちなりに一人一人しっかりとした自分の軸を持ち、日本独自のスタイルで、本当の意味でのオーガニックと向き合って行くことが大切なのだと感じます。
展示会を終え、メキシコのオーガニック野菜通して、日本の消費者へオーガニックの良さをもっと理解してもらえるように努力していきたいと感じました。