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バリ島のオーバーツーリズム問題について考える

バリ島は、その美しいビーチ、豊かな文化、そして温かいホスピタリティで世界中の観光客を魅了してきました。しかし、この人気の影には深刻な問題が潜んでいます。「オーバーツーリズム」過剰な観光客数によって引き起こされる問題は、バリ島の環境、インフラ、そして地元住民の生活に大きな影響を与えています。バリ島が直面する課題とその解決策について考えることは、持続可能な観光地としての未来を築くために非常に重要です。バリ島のオーバーツーリズムの現状とその影響についてお伝えします。

観光客が増加

中央統計局(BPS)の報告書によると、2024年5月にはインドネシアを訪れる外国人観光客は115万人に達すると予想されています。この数字は2023年5月と比較して20.11%増加しており、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが勃発する前の水準、つまり2020年1月の訪問者数129万人に近づきつつあります。インドネシア政府は、今年の外国人観光客総数を1,430万人に達することを目標としており、そのほぼ50%、つまり最大700万人をバリ島が受け入れる準備を進めています。この数はバリ島の人口の160%に達します。バリ島は、その美しい自然と文化的魅力から多くの観光客を引きつけていますが、その一方でオーバーツーリズム問題が深刻化しています。

オーバーツーリズムとは

オーバーツーリズムとは、特定の観光地にキャパシティを超えた観光客が押し寄せる現象で、現地の環境やインフラ、住民などに負の影響をもたらします。バリ島では、観光客が増加することで、特に次のような問題が顕在化しています。観光客の増加は、自然環境に多大なストレスを与えます。美しいビーチやサンゴ礁が損傷し、野生動物の生息地が脅かされることがあります。また、観光客が多く訪れる地域では、過度な土地開発が進み、自然景観が破壊されるリスクも高まります。バリ島の最大の悩みは、交通問題とゴミ処理が追いつかないことです。

交通渋滞問題

観光客の増加に伴い、交通インフラや公共施設にかかる負担も増大します。バリ島の道路は混雑し、空港や観光スポットへのアクセスが困難になることがしばしばあります。これにより、地元住民の日常生活にも支障をきたすことがあります。

バリ島の道路はピーク時には渋滞が激しく、特に主要観光スポットや都市部では移動が困難です。空港から人気のスポットに行くまでには何時間もかかることがあり、観光客の不満も増加しています。地元住民も同様に渋滞に悩まされており、経済活動や緊急サービスに影響を及ぼしています。

環境問題

バリ島では、観光客が増えることで、ゴミの量も急増しています。観光地周辺にはゴミの山が見られることが多く、特にプラスチックゴミ問題が深刻化しています。適切なゴミ処理施設が不足しているため、ゴミの回収や処理が追いつかない状況が続いています。この結果、自然環境への影響が深刻化しています。観光地では、ビーチや街中に捨てられたプラスチックゴミが目立ち、海洋生物への影響も懸念されています。プラスチックゴミは長期間にわたり分解されず、環境に有害な物質を放出するため、地域の生態系に悪影響を及ぼします。

インドネシア政府は、2020年4月にプラスチックゴミの大幅な削減を目指す計画を発表し、2025年までに海洋プラスチックゴミを70%削減する具体的な目標を掲げています。この取り組みの一環として、プラスチック製品の使用を制限する法規制や、ゴミの分別回収の推進が行われています。

観光税の導入

インドネシア政府は、2024年2月14日からバリ島に入島する外国人旅行者に対して観光税を導入しています。観光税は1回の入島で15万ルピア(約10ドル)となっています。この収益は、観光地のインフラ整備や環境保護に充てられる予定です。観光税の導入は、観光客に対してバリ島の環境保護の重要性を認識させるとともに、地域経済の持続可能な発展を支援することを目的としています。観光税の収益を活用することで、道路や公共交通機関の改善、ゴミ処理施設の増設、環境保護活動の推進が期待されています。これにより、バリ島の観光インフラの質を向上させるとともに、観光客と地元住民の双方にとって快適な環境を整備することが可能になります。

サステナブルツーリズムの推進

サステナブルツーリズムは、観光客とその土地のどちらにもメリットのある循環型の旅行スタイルです。バリ島では、観光客が自然環境や文化を尊重しながら訪れることが求められています。具体的には、環境に配慮した宿泊施設の選択や、地元の文化や伝統を尊重する行動が推奨されています。また、地元経済への貢献を促進するために、地域産品の購入や地元ガイドの利用が奨励されています。

まとめ

バリ島のオーバーツーリズム問題は、交通問題、ゴミ問題、環境問題など多岐にわたり、サステナブルツーリズムの推進が求められています。観光税の導入や環境保護の取り組みが行われているものの、観光客の増加に伴う負の影響は依然として深刻です。バリ島の魅力を保ちつつ、持続可能な観光地としての未来を考えるためには、今後も継続的な対策と意識の向上が必要となってくるのでしょう。

kenji kuzunuki

葛貫ケンジ@インドネシアの海で闘う社長🇮🇩 Kenndo Fisheries 代表🏢 インドネシア全国の魅力を発信🎥 タコなどの水産会社を経営中25年間サラリーマン人生から、インドネシアで起業してインドネシアライフを満喫しています。 インドネシア情報だけでなく、営業部門に長年いましたので、営業についてや、今プログラミングを勉強中ですので、皆さんのお役にたつ情報をお伝えします。