インドネシアにいると鮮やかな緑に着色された、パンやお菓子や料理に出会います。抹茶のような濃い緑ではなく、エメラルドグリーンのような人工的に着色したように思えますが、それはパンダンリーフを使った天然の色です。
本日は、パンダンリーフの驚きの効果についてお話します。
パンダンリーフは、アジア、アフリカ、環太平洋の熱帯地域で育つタコノキ科の植物です。葉をらせん状につけるのがこの植物の特徴です。木の根がタコの足が幹にまとわりつくような感じなのでタコノ木と呼ばれているようです。パンダンリーフは「ニオイタコノキ」という別名もあり、観葉植物としても知っている方が多いのではないでしょうか。
パンダンリーフは、葉そのものを食べるのではなく、香り付けや抹茶のような緑色の着色料として利用されています。
インドネシアのお菓子には綺麗な緑色がたくさん見られます。パンダンリーフの緑色は、明るい緑色です。日本で緑色というと抹茶が一般的ですが、抹茶であれば色はもう少し落ち着いた深い緑です。抹茶色と比べてしまうと、見慣れないうちはこんな明るい緑色とはどんな着色料が使われているのだろうかと気になってしまいますが、この色の正体こそ、パンダンリーフの葉を煮出して作られる天然の緑色色素となります。
パンダンリーフ、色素としてだけではなく独特の香りも持っています。その香りは東洋のバニラともいわれています。パンダンリーフはバニラよりももう少しこってりとした、青臭いにおいがします。しかし、インドネシアでは好まれる香りのようで、お菓子やアイスクリームだけではなく、料理の香りづけにも用いられます。
パンダンリーフの香りは、ニオイ消しに使用されています。冷蔵庫や車の中に入れて消臭に使用している人もいます。人が集まるロビーやホテルのエレベーターに日々芳香剤として撒かれていて、漂うこの香りは一体何と思っていましたが、パンダンリーフの香りと知った時は、もう少しさわやかな香りがいいのではないかと思わせます。
パンダンリーフの香りはゴキブリや蚊などの虫よけにも効果があるそうです。エアコンもなく、虫除けスプレーなどもなかった時代は、害虫を寄せ付けない魅惑的な香りを放つパンダンリーフに多くの人々が助けられていたのでしょう。
血液をサラサラにする効果や、糖尿病や高血圧対策、ぜんそくの緩和などに効き目があるとされています。
パンダンリーフには、色よし、香りよし、食べてよし、消臭虫除けと生活に欠かせない植物です。インドネシアの伝統的なお菓子は、名古屋の「ういろう」に似たものや、蒸しパンのようなものなど、意外と日本の和菓子と通じる要素があるので、抵抗なく食べられるものも多いです。インドネシアで緑色のお菓子があったら、パンダンリーフを思い出し、是非食べてみてください。