インドネシアの2020年インターネット普及率は72.8%と言われ、2025年には89.3%にまで上昇すると言われています。
2020年のECサイト取引は266兆ルピア(約2兆円)と大きく伸びています。
ECサイトが伸びた理由としてコロナ禍で外出制限が続いているからと思いきや、インドネシアは現金主義でクレジットカードを持つ人が少ないのに、どうしてECサイトがこんなにも爆伸びしているのでしょうか。
理由はPayLaterの普及でした。
2020年インドネシアのECサイト利用者1位は、Shopeeで、Tokopediaを抜いた事がわかりました。
2020年 | 1~3月 | 4~6月 | 7~9月 | 10~12月 | 合計 |
Shopee | 71,533,300 | 93,440,300 | 96,532,300 | 129,320,800 | 390,826,700 |
Tokopedia | 69,800,000 | 86,103,300 | 84,997,100 | 114,655,600 | 355,556,000 |
Bukalapak | 37,633,300 | 35,288,100 | 31,409,200 | 38,583,100 | 142,913,700 |
Lazada | 24,400,000 | 22,021,800 | 22,674,700 | 36,260,600 | 105,357,100 |
Blibli | 17,600,000 | 18,307,500 | 18,695,000 | 22,413,100 | 77,015,600 |
新型コロナ禍で厳しい外出制限等で、ますますECサイトでの購入が後押ししている形です。2020年4月以降、大規模社会制限(PSBB)が行われた結果、ECサイトの訪問者数が大きく増えています。外出が難しくなった人々が、ECサイトで買い物を行ったためです。
ジャカルタのような都市部では、いつも交通渋滞が起きており、そのような街に住んでいる人にとっては、オンラインでショッピングできることは非常に便利だと感じており、利用頻度も高いといえるでしょう。
ECサイトの成長を調査しているJakpatの調査によると、ジャワ島の中間所得者1493人を調査した結果、買い物に行く必要がないため、オンラインを使用する人が78.3%、ついで、さまざまな割引やプロモーションがあるからが76.6%になっています。
ECサイトを選ぶ一番の基準は、さまざまに割引やプロモーションがあることです。
ECサイトが使いやすい、価格、支払い方法と続きます。
インドネシアは基本、現金主義で、クレジットカードやデビットカードをもっている人の割合が低くクレジットカードの利用率は特に低く7%程度と言われています。
クレジットカードを持たないインドネシアにおいて、ECサイトが拡大できた理由は、PayLater(後払い)機能を使う人が増えたことも大きな要因です。ShopeeはPayLater機能でインドネシアECサイト1位まで登りつめたといえるでしょう。
PayLaterとは、EC事業者が、独自の与信技術を使って、ユーザーに後払いサービスを提供しています。
利用者にとっては、クレジットカードを保有していなくても、毎月の負担を少なくして購入することができます。クレジットカードを持つには審査もあり、さらに銀行口座を持つ必要があります。
しかし、PayLaterでは、クレジットカード銀行口座もいりません。支払いは、銀行に振込して支払ったり、電子マネーにチャージして支払う事も可能です。
現在多くのEC事業者が導入している決済方法はクレジットカードを保有している事を前提としているものばかりです。このような決済方法に対して、利用を渋るユーザーも存在します。
インドネシアのようにクレジットカードを保有していないユーザーに対して、商品を販売する場合、独自のPayLater機能を導入する事で、ユーザー囲い込みができ、離脱が減るというメリットがあります。
クレジットカードより先にデジタル決済による信用取引が先行し、リープフロッグが起きています。「leap(リープ)」は「跳ぶ」、「frog(フロッグ)」はカエル。二つの単語を合わせた「leapfrog(リープフロッグ)」は、そのまま「カエル跳び」という意味です。
リープフロッグは、途上国ならではの現象で、次にプラットフォームを補完するための電子マネーを通じた本人確認のe-KYCや、ID認証が進んでいくことになるでしょう。クレジットカードなど一般的な金融サービスを利用していない層は、インドネシア人口の半分以上を占めるので、潜在的な市場規模はとても大きいと言えます。