仕事の関係でインドネシアの教育制度や、最終学歴に触れる機会があったので、簡単にまとめたいと思います。インドネシアと日本の教育制度の違いなどを理解することも大切ですね。
インドネシア人の履歴書を見ると、「S1」や「D2」などと記入されていることがありますが、これは以下の通り、学歴を表しています。
インドネシアの基本教育制度は日本と似ているので、わかりやすく、小学校は6歳から6年間、中学3年間、高校3年間です。
義務教育は、SD(小学)とSMP(中学)の9年間になります。
公立の場合は、小学校と中学校の学費は無料です。
なお、一つの街に複数の学校がある場合、どの学校に行くかは各家庭で決定することができます。近所のあの学校は悪い子達が多いという評判を聞いたから別の学校にすることもあるそうです。
最近は、Swasta (スワスタ)と呼ばれる私立の学校に行くという選択肢も人気が高まっています。かかる費用は公立に比べてはるかに高いですが、家庭の宗教的背景や、子供のために質の高い教育や安全な環境を求めるために私立を選ぶ富裕層のインドネシア人が増えてきています。日本と一緒ですね。
SMP(中学)を卒業した後は、SMA(高校)かSMK(職業高校)へ進学するかを選ぶことになります。大学へ進学する場合はSMA、職業訓練を受けて卒業後すぐ就職したい場合はSMKへ進学します。SMKに進学したけれど卒業後はやはり大学に進みたくなった、という進路の変更も可能です。
学期はアメリカと同じくsemesterと呼ばれ、7月〜12月の前半、1月〜6月の後半に分かれています。年末年始の休みは一般的に12月24日〜1月3日まで。そしてSMAとSMKは6月〜7月にかけて数週間の休みがあります。
平日月曜〜金曜日の5日間で、一般的な授業時間は以下の通りです。
小学校:朝7:00〜12:00
中学校:朝7:00〜13:00
高校あるいは職業高校:朝7:00〜13:45
小学校1、2年は1時限30分授業、3年生から40分になります。
特に中学校と高校において、日本よりも授業時間が短いのがわかります。子供の人数の割に教室が少ないため、午前と午後の2部制をとっている学校もあります。
日本と違う点は、国内すべての公立学校で制服が統一されていること。
小学校:上は白シャツ、下は赤いスカートかズボン
中学校:上は白シャツ、下は紺のスカートかズボン
高校あるいは職業高校:上は白シャツ、下はグレーのスカートかズボン
靴や鞄などは自由です。いたってシンプルな制服ですが、このように国で統一されているのでパッと見ただけで小学生、中学生、高校生かを見分けることができます。
このスタンダードな制服以外にも、学校儀式など特別な日に着るバティック制服などを学校が指定してくる場合もあります。
制服は日本と同じく各家庭で購入する必要があります。つまり、インドネシアの公立に通うために3種類の制服を用意しなければならないので、金銭的にも結構な負担となるようです。兄弟親戚のお下がりということも多いです。
インドネシア語で学士のことをSarjana(サルジャナ)と言いますが、一般的に以下のように略されます。
S1 (エスサトゥ) Bachelor’s Degree = 4年制大学卒業
S2 (エスドゥア) Master’s Degree = 大学院修了(2年間)
S3 (エスティガ) Doctor’s Degree = 博士号(3年間)
日本よりは学費が安いとはいえ、インドネシアで学士を取るためには真剣に勉強しないと卒業できません。S2(修士学)を所得しようと思っても、実際取得できるのは何割かです。
そのためインドネシアの大学生にはアルバイトやサークル活動に明けくれる余裕はなく、親に高い学費を出してもらっていることもあり、真面目な生徒がほとんどです。
大学も前半後半に分かれたセメスター制ですが、高校までとは違い、1学期は8月〜12月、2学期は1月〜6月までとなります。大学生は7月中ずっと休みになりますが、その間インターンシップや就職活動、海外留学する場合は留学の準備に励んでいます。授業は無くとも、休む暇はほとんどありません。
学校卒業の違いによる平均給与の差を調査したものがあります。
このグラフをみると、男性労働者と高等教育を受けた人ほど高い賃金を受け取っていることがわかります。
大学卒業すると給与も高いので、日本と一緒であるといえます。
インドネシアはまだまだ地域によっても教育格差が大きく、色々な課題があります。
一方で、インドネシアの人口は右肩上がりで、毎年増加の一途をたどっています。そして年齢の若い人口が多いため今後の経済発展にも期待できるでしょう。そのためには欠かせない教育問題にインドネシアが今後どのように対応してくのか、注目ですね。