インドネシア中央銀行は2月17、18日の政策決定会合で、政策金利の指標金利である「7日物リバースレポ金利」を0.25%引き下げ、過去最低の3.5%にすることを決めました。
インドネシア国内では、新型コロナウイルスの感染が収束せず、政府が予測する景気回復の軌道に不透明感も漂っており、金融緩和で経済を下支えするとの考えです。
2020年の初めは5%だった政策金利は5回に渡り2020年11月に3.75%に引き下げとなっていたところに更に今回の利下げとなります。
2021年の経済成長率見通しを従来の4.8~5.8%から4.3~5.3%へ下方修正しました。2020年10-12月期GDP前年同期比マイナス2.19%が予想よりも低迷したことを受けた形です。
インフレが低水準でとどまり、通貨ルピアは対ドルで安定していて、ペリー中銀総裁は会合後の記者会見で通貨の下落圧力になる利下げに踏み切っても影響はないとの考えを示しました。
また、3月から今年の年末まで、自動車ローンや一部住宅ローンの対象に頭金の要件を撤廃しています。
今の所インドネシアルピア円も0.0075円台で推移して底堅い動きです。
インドネシア国内では新型コロナの新規感染者数の増加が続き、1月下旬からは1日あたり1万人を上回るペースに達するなど、未だ感染拡大に歯止めがかからない状況にあります。
対面型サービス業など労働集約型の産業では失業者が増えている状況です。
また政府は年末年始に実施した国内の移動制限を年明け以降も継続、更に1月11日から感染リスクの高いジャワ島とバリ島を中心にPSBBを再開する形で行動規制を強化しています。
現在でもオフィスへの出社や公共交通機関の運行、商業施設の営業時間に制限がかかっており、人の移動が大幅に減少しています。
変異種発生への対応として、1月から一部の外国人を除き、入国を一時停止しており、観光業の回復は引き続き期待できない状況です。
インドネシアは1998年のアジア通貨危機以降、初の景気後退局面に入っています。2021年1-3月期も4期連続のマイナス成長が予想されています。
今回の利下げで、追加利下げの余地は狭まっているとして、利下げ打ち止めの可能性も示唆していますので、そちらを材料視されているようです。
インドネシア国内で新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり全国の医療従事者約132万人が対象となっています。政府は集団免疫を獲得するために国民の7割(1億8,000万人)がワクチンを接種する必要があると考えています。
今後、ワクチンの普及が進むなかで景気回復の動きが強まると予想されています。
景気回復を後押しするため、今回の追加利下がきっかけで、今後のワクチン普及に伴う景気回復の後押しとなり、政府が2021年度の国家予算で掲げた+5.0%の成長率目標の達成にも貢献するかどうか、今後を見極めていきたいと思います。