インドネシアは1999年新地方自治法以降、分権化が進み、中央政府の役割は、外交、国防治安、司法、金融・財政、宗教及びその他の分野に限定されて、残りの分野が全て自治体の管轄になりました。
インドネシアは、州(Provisi)が最上位の地方行政単位です。
現在特別州を含め34州あります。
州知事が最高責任者で5年毎に改選されます。
州の下には県(kabupaten)と市(Kota)が同レベルで存在します。
農村部が県、都市部主体だと市になります。
州政府、州議会、州知事と州が中央政府の代理機関となり、県や市は地方自治に特化した存在となります。
インドネシアは世界で一番地方自治が進んだ国と評価さていますが、中央政府の力が弱いとも言われ、地方の政策を中央政府が止める力はありません。
インドネシアは、1999年頃に民主化という大きな変化が起き、急に各地域・各自治体が自律と自治を求めるようになりました。しかし、石油などの天然資源を多く持つ豊かな州に完全な自治権を与えてしまうと、これらの州が独立していくのではないかといった恐れがありました。
地方分権が始まった2001年にまず県と市に対して自治権が与えられました。これは国が分裂する可能性を危惧しての対策であったようです。
州は県・市間の横断的な事務の調整や中央政府に代わって県・市の行政事務を指導監督することとなりました。
県・市は中央政府がもつ権限(外交・国防治安・司法・金融財政・宗教・その他)
以外の分野の権限を委譲されました。
インドネシアでは、県、市の自治体が増えていく傾向にあります。
全ては、財源によって利権が生じ不公平がでてしまいます。
地方政府で一番重要な財政については、自治体の面積や人口、資源によって地域バランスがとれないので、地方自主財源収入だけなく、国からの配分が重要です。
地方政府の自己財源は,地方税,地方利用者負担金,公営企業収益,その他収入から構成されます。
国から地方への資金移転に関しては,人口面積および経済力などによる算出にもとづき資源が不均衡な地域間に資金配分の是正をおこなうことにしました。
国からの一般配分金によって歳入分与から生じる財政収入格差を緩和して、地域間財政格差を抑えるという構造が整えられたのです。
しかし,各自治体によっては自己財源獲得に走り,その結果地域経済が停滞する事態や,自治体間や自治体内部で利権争いがおこる事態も起きています。
島国で多民族・多宗教国家のインドネシアにおいて,ひとつの国を守っていくことは大変な事です。地方分権化による各地域における発展の成果はこれからです。
インドネシアは地方分権の進展により地域の独自性が尊重されたことで,現政権に政治的安定をもたらし,今後の経済の成長へとつながる重要な役割と考えられます。