RAILINK空港鉄道は空港とジャカルタ市内間アクセス向上への救世主として役割を果たせるか検証し、今後のジャワ島内鉄道網発展への期待と展望を深堀します。
RAILINK空港鉄道は、スカルノハッタ国際空港とジャカルタ市内を結ぶ鉄道です。
インドネシアの国鉄PT KAIと空港運営会社であるPT Angkasa Pura IIの合弁会社であるPT RAILINKが運営しています。
ジャカルタ市内中心部を結ぶ道路が交通渋滞の影響を受けることが多いため、ジャカルタ市内中心部から空港までの移動時間を短縮するために建設されました。
ジャカルタの渋滞を避ける代替ルートとして非常に期待されており、3.7兆ルピア(約280億円)をかけて、2018年1月に開通しました。
しかし、鳴り物入りで開通した空港鉄道の人気は徐々に消えつつあるようです。
市街から空港に向かう場合は、BNIシティ駅から乗って空港まで行きましょう。
以前はスディルマンバル駅でしたが、現在BNIシティ駅となりました。
地下鉄MRTのドゥクアタス(Dukuh Atas)駅や、通勤電車コミューターのスディルマン駅から歩いて移動できますので、MRT経由やコミューター経由でアクセスするのが良いです。
駅の中にはレストラン、カフェ、銀行、コンビニなどがあり便利です。
乗車券はクレジットカードかプリペイドカードしか買えず、現金では購入できません。
日本で発行のクレジットカードが使えない場合もありますので、インドネシアのE-Moneyカードというプリペイド式カードを1枚作って持っておくと良いでしょう。
係員の方々がいますので、買い方がわからない時は親切に教えてもらえます。
乗りたい列車の時刻を確認して、どの列車に乗るか選択して購入します。
BNIシティ駅からスカルノハッタ空港までの料金は70,000ルピア(約540円)
チケットのバーコードを自動改札機の読み取り部分にかざすと、改札を通過できます
BNIシティ駅は線路の上に作られていて、頻繁に通勤電車などが行き交うコミューター路線の本線上にRAILINK専用の駅を作ってしまったという日本的な感覚からするとかなり不思議な設計です。
通勤電車はすべて通過してしまいますので、乗り換えする場合はすぐ隣にスディルマン駅があり、そこから徒歩で移動します。
乗客を分ける対応なのでしょうが、待避線もなく、通勤電車が次々に来るので、空港列車の停車時間は短いです。
空港列車は、手前のマンガライ駅まで行き、折り返し運転をしています。
6両編成の列車が来ると、どの車両でも問題なく乗れます。ものすごく空いているのでどこでも好きな席に座りましょう。荷物置場もあるので、スーツケースを置くこともできますが、席も空いていますので、手元に置いて盗難防止でも全く問題ありません。
1両に2箇所ドアがあり、内部は2−2列のクロスシート。ヨーロッパとかでもよく見る前後で座席が固定され、座席の回転はできません。ドゥリ駅で進行方向がかわるので、逆向き方向が嫌な場合は、席を移動しましょう。
天井から下げられたモニターもあり、駅の案内情報に加えてCMなども流れています。
シートは固めですが、シートピッチは十分。
一応リクライニングもしますし、長時間の乗車ではないので、非常に快適です。
シートの間にはUSB充電ポートがあり便利です。
RAILINK空港鉄道は30分毎に出発し、定刻運行で時間が読めるのは利点です。
マンガライ、BNIシティ、ドゥリ、バトゥチェペル、スカルノハッタ空港と5つの駅があり、マンガライからバトゥチェペルまで24Kmは、通勤電車のコミューターと同じ路線を走ります。
通勤電車の間隔をぬうように走り、他の駅は通過するのですが、追い越しできないので、スピードはかなり遅いです。
ドゥリ(Duri)駅をすぎると、走行するスピードは少し上がります。
バトゥチェペル(Batu Ceper)駅 から空港駅まで12Kmが空港アクセス線路として新しく建設されました。
大きく空港の滑走路を迂回する形で作られているため、直線距離は近いのですが、時間がかかります。
おそらく、日本であれば滑走路の地下に通して、各ターミナル駅を設置する形をとりそうですが、スカルノハッタ空港駅は、ターミナル1、2の間という中途半端な場所に設置してあります。
スカルノハッタ空港駅では、ホームドアがあります。おそらくインドネシアではMRT以外ではこの駅だけでではないでしょうか。
この駅からターミナル1,2,3へ連絡するスカイトレインに乗り継ぎをします。
6両編成のEA203タイプでは、272人の客が乗れますので、約30分ごとの列車頻度で、方向ごとの1時間あたりの最大乗客数は544人です。すべての列車移動で70%の乗車率を想定すると、RAILINKは1日あたり23,600人、年間860万人の乗客を運ぶことができます。
スカルノハッタ空港の年間空港利用客は約6,300万人ですので、空港とジャカルタ市内を移動する乗客数を85%で計算した場合、RAILINKは空港と市内の往復輸送の約16%のシェアを提供できる計算です。
しかし、RAILINKによると、空港鉄道の乗車率は30%にすぎません。
1つの列車が1回の移動で80人未満の乗客しかいない計算です。
列車の供給容量は十分なのですが、RAILINKの空港と市内の往復輸送シェアは7%程度とかなり下回っています。
タクシーは、市内中心部まで約100,000~130,000ルピア(約800~1000円)
ダムリ空港バスの料金は、空港とガンビル駅の間で40,000ルピア(約300円)
RAILINKは、空港とBNIシティ駅まで70,000ルピア(約540円)です。
タクシー 高速道路が普通の込み具合約1時間、渋滞時2時間、早朝夜中約40分
ダムリ空港バスも基本タクシーと一緒ですが、1時間~2時間はかかります
RAILINKは空港駅からBNIシティ駅間は46分間との案内ですが・・・
空港駅からBNIシティ駅まで46分で移動できると案内ありますが、実際は空港の到着ロビーをでてから、空港駅を経由し、BNIシティ駅到着まで90分ほどは必要です
列車の移動速度だけでなく、駅までの移動や乗換も考慮すると大きな差異が生じます。
インドネシア以外の国の空港列車は通常、市内の主要輸送ハブ駅と空港ターミナルに直接接続します。
RAILINKはジャカルタの市内中心部と空港を接続しようとはしていますが、スカルノハッタ空港のターミナル1、2、3とRAILINK空港駅はどこにも接続しておらず、必ずスカイトレインを利用して移動する不便な作りになっています。
空港から市内へ移動する場合、長時間のフライトの後、入国審査を終えて到着ロビーに出て結構疲れている時に、エアロトレインとRAILINKを使ってBNIシティ駅まで移動してタクシーでホテルまで行くのは現実的ではありません。
高速道路の渋滞は、夕方の退勤時間帯が最も酷い傾向ですが、最近は高速道路も比較的すいていることも多くなりました。
・夕方の高速道路渋滞の時間帯以外
・2名以上いる場合
・荷物が2つ以上ある場合
・飛行機移動後で疲れている場合
・1人で移動の場合
・荷物が少なく、移動しやすい状態である場合
・時間に余裕があり、たまには鉄道に乗って変化を楽しみたい場合
・市内から空港へ移動の場合で高速道路が大渋滞の時間帯で空港到着時間が読めない場合
2019年10月にRAILINK路線がマンガライ駅まで延長されました。
マンガライ駅は、通勤電車コミューターの乗換駅であり、ジャカルタコタ、ボゴール、デポック、ブカシへとつながっています。
将来的には、長距離鉄道の中央ターミナル駅になるために再開発されています。
2022年までに現在の長距離列車の出発がガンビル駅からマンガライ駅に変わる予定です。
今後、ジャカルタからバンドン、スラバヤへの高速鉄道を含む、ジャワの鉄道網拡充が計画されています。
将来ジャワ島各地域から空港までの鉄道網が完備されれば、RAILINK空港鉄道の利用価値が高まる予感もします。
ジャカルタから飛行機移動でなく、高速鉄道でジョグジャカルタへ行ってみたいですね。
ジャカルタ・スカルノハッタ国際空港のアクセスは、今までタクシー・バスなど渋滞に巻き込まれる可能性があり、時間が読めない手段しかありませんでしたが空港鉄道という選択肢ができたのは画期的です。
車内も空いていますし快適な移動はできますので、是非1度利用してみてはいかがでしょうか。