ラマダン月に変わるインドネシアでの生活リズム!健康的で静かな1ヶ月を満喫
マカッサルに住み始めてから4回目のラマダン月は、私自身の生活にも思いがけない変化をもたらしました。ラマダンと聞くと「断食」というイメージが先行しがちですが、実際に現地で過ごしてみると、食事や睡眠だけでなく、街の雰囲気や人との接し方まで、あらゆる側面がラマダン仕様になっていくのを肌で感じられます。忙しい日常を離れ、少しゆったりと自分を見つめ直すことができるこの1ヶ月は、一見すると制限が多いように思えて、実は健康的で規則正しい生活リズムを整える良いきっかけにもなります。
ラマダンとは?インドネシアならではの特色
ラマダンはイスラム教徒にとって非常に重要な月で、日の出から日没まで断食を行います。ただし、断食の目的は単なる食事制限ではなく、自分を律し、他者の苦しみを理解する機会とされています。インドネシアは世界最大のムスリム人口を抱える国ですから、ラマダン月には社会全体が断食のリズムに合わせて動き出します。
インドネシアでは、断食開始時刻を告げる太鼓の音や、夜明け前の礼拝に向かう人々の足音が日常の風景になり、街全体がいつもとは違う活気に包まれます。またラマダン中は街中のレストランや飲食店の営業時間が短縮されたり、日没時刻に合わせて営業したりすることが多々あるため、生活パターンに大きな影響が出ます。

生活リズムの変化!朝3時起床と早寝へのシフト
私の場合、このラマダン時期に毎朝3時頃に自然と目が覚めるようになりました。これは、おそらく周りの人々が夜明け前の食事「サフ―ル」のために動き出す気配を感じ取っているからかもしれません。まだ外は暗く、街もひっそりとしている時間帯ですが、静まり返った空気の中で体が自然に目覚めると、一日のスタートを穏やかに切れるように思います。
一方で、夜はどうしても早い時間帯に眠気が襲ってくるようになりました。断食をする人たちは日中のエネルギー消費を抑えるために夜早めに就寝するケースが多く、その流れに私も引きずられているのかもしれません。結果的に早起き・早寝が習慣化しやすくなり、普段は不規則だった睡眠サイクルが整うのを感じました。
夕方のレストラン混雑と自炊の楽しみ
断食明けの食事を「ブカプアサ」と呼び、日没後に一斉に人々が食事を開始します。夕暮れ時のレストランは家族や友人と食卓を囲む人々でごった返し、テーブルを確保するのも一苦労です。そのため私の場合は、夕方の外食を避け、スーパーマーケットで食材を買い込み、自宅で食事を用意することが増えました。

自炊をするメリットは、慌ただしい街の雰囲気から少し離れ、落ち着いた環境でゆったりと食事を楽しめることです。野菜中心のヘルシーメニューを考えてみたり、地元のスパイスを取り入れた料理にチャレンジしてみたりと、新しい料理研究の機会にもなりました。
海外からの来客を控える、ゆとりある時間
ラマダン月はインドネシア全体がゆったりとしたペースに移行します。ビジネス活動も控えめになる傾向があり、私もこの時期は日本からのお客を極力断るようにしています。昼間に商談をしても、現地の方々は断食中で集中力や体力をセーブしていることが多く、いつも通りのパフォーマンスを期待するのは難しいからです。
その分、自分の時間を確保できるメリットがあります。読書をしたり、勉強をする時間を確保したりと、普段はなかなか取れない「自分磨き」のためにラマダンを活用できるのは、大きな魅力だと感じています。特に、ラマダン期間中は静かな環境が整いやすく、心身ともにリフレッシュする格好のタイミングにもなります。
ラマダン中に気をつけたいポイント
日中は人前での飲食を避ける:断食をしていない人も、最低限のマナーとして、人前での飲食や喫煙は控えたほうが良いでしょう。
交通状況の混雑に備える:ブカプアサ前になると多くの人が帰宅を急ぐため、夕方の渋滞や公共交通機関の混雑が激しくなります。
イベント参加にも配慮:モスクや地域の集まりでは、断食明けの礼拝や特別な祈りが行われるため、訪問する際は敬意を払うことが大切です。
ラマダンがもたらす規則正しい生活のメリット
忙しい日常を過ごしていると、食事や睡眠などの基本的な生活リズムがおろそかになりがちです。しかし、ラマダンのように宗教的行事を中心に街全体が動く期間があることで、一度立ち止まり、健康管理や自己管理を見直すチャンスが得られます。朝3時に自然と目覚め、夕方には自炊で健康的な食事を楽しみ、夜は早めに就寝する。簡単に言えば、それだけで身体に良さそうな生活リズムが構築されていくのです。
また、この時期は精神面にも良い影響があると感じます。日中は「我慢」を意識する人が多いからこそ、夜間の街に広がる連帯感や安らぎも格別です。いつもは慌ただしいインドネシアの街が、どこか落ち着きを帯びるのを目の当たりにすると、「断食って大変じゃないの?」という先入観が、実は大きく覆されることがあります。
まとめ
ラマダンの1ヶ月は、断食を行うムスリムの人々だけでなく、現地で暮らす外国人や観光客にとっても非常に興味深い期間です。朝早く目覚める生活リズムや夕方のレストラン混雑、自炊を余儀なくされる状況など、一見すると不便に感じるかもしれません。しかしその反面、静かに自分を見つめ直す機会や、健康面・精神面の両方でプラスになる要素が多く含まれています。私自身、ラマダン中はいつもよりゆったりと過ごすようになったことで、心と身体のバランスが整いやすくなったと実感しています。もしインドネシアでラマダンを体験する機会があれば、ぜひその独特のリズムに身を委ねてみてください。意外なほど穏やかで、心身ともにリフレッシュできる時間が確保できたように思えました。