もうすぐラマダンも終わりますが、「もし途中で断食をやめてしまったら?」と疑問に思い、調べてみました。イスラム教では、体調不良ややむを得ない事情で断食ができなくなることもあれば、意図的にやめてしまうこともあるかもしれません。そんなときに必要となるのが、カファーラ(Kaffarah)やフィドヤ(Fidyah)という償いの制度です。この記事では、これらの償いがどんなときに必要で、どう行うのかを簡単にまとめました。
カファーラは、意図的にラマダンの断食を破ったり、重大な違反をした際の償いです。
イスラム教において断食は、身体と心を清める大切な行為です。故意に断食を破るのは重い違反とみなされ、カファーラが求められます。
60日間の連続断食
一度でも中断すると最初からやり直しになるため、非常に厳格な方法です。
60人の貧しい人への食事提供
1人あたり1日分の食事、または相当額を提供します。
歴史的には奴隷の解放もあったそうですが、現在は実施されていません。
誓いの破棄などの場合は、10人の貧しい人への食事や衣服の提供、または3日間の断食など、違反内容によって方法が異なることもあります。
フィドヤは、高齢者や慢性疾患のある方など、どうしても断食ができない人が行う償いです。
断食が健康を大きく害すると判断される場合は、無理をせずフィドヤを行います。イスラム教は慈悲を重んじているため、身体をいたわることも大切とされています。
1日あたり1人分の食事(または同等の金額)を貧しい人に提供
断食を免除した日数分だけ、貧しい人への施しを行います。
カファーラ(Kaffarah)
故意の断食破りや重大な違反をした人向けの償い
60日連続断食や大勢への施しが必要
フィドヤ(Fidyah)
高齢や持病で断食が困難な人への代替措置
1日につき1人分の食事を施すなど、比較的負担が少ない方法
一言でまとめると、カファーラは「違反に対する償い」、フィドヤは「体の事情による断食免除」のための施し、というイメージです。
一時的な免除
上記の場合は、後日に断食を補う必要があります。
完全に断食が難しい場合
高齢や慢性疾患など、ずっと断食できない人
この場合は、フィドヤを行います。医療証明を取る場合もありますが、必要以上に無理をせず、体の状態に応じて判断することが推奨されています。
ラマダンは、単なる断食だけでなく、心や行いを正す大切な期間でもあります。カファーラとフィドヤはどちらも「償い」を目的とした制度ですが、原因や対象が大きく異なる点が特徴です。
ラマダンは、自分を律し、心身を浄化する貴重な期間です。しかし、健康を守ることもイスラムの教えの一部。もし断食を中断したり、どうしてもできないと判断した場合は、無理をせず、適切な償いを行うようです。奥が深いですね。