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ラマダン終了日に街で見られる特別な光景と人々の祝祭ムードと街にあふれる笑顔

約1ヶ月間にわたって行われる断食月、ラマダンが終わると、インドネシアをはじめイスラム教徒が多く暮らす地域では一斉に祝祭ムードに包まれます。ラマダン終了日に何をするのか、どんな光景が広がっているのか、そしてイドゥルフィトリに向けた気持ちの切り替えについてご紹介します。

早朝のモスクから響く特別な祈り

ラマダン最終日からイドゥルフィトリ当日にかけて、モスクからはいつも以上に厳かな祈りの声が響きます。まだ薄暗い夜明け前の時間帯に、静けさとともに広がる祈りの声に耳を澄ませると、この日が特別な一日であることを強く感じます。モスク周辺には人々が集まり、祈りを通して心を清め、日々の中で犯した過ちを振り返りながら、新しいスタートへの準備をしているのです。

華やかに彩られる街並み

ラマダンが終わる頃になると、街にはカラフルな装飾が施され、まるでお祭りのような雰囲気が漂います。お店の入り口や家庭の軒先には、色とりどりの飾りや灯りが飾られ、通りを歩くだけでも気持ちが明るくなるのを感じます。子どもたちは新しい服を着てはしゃぎ回り、大人たちもどこかいつもよりうきうきした様子でこの時期を迎えます。ラマダン終了日には家族や友人への贈り物を準備することが多く、そのため街の市場やショッピングセンターも大変にぎわいます。

許し合いの美しい文化「マーフ」の瞬間

インドネシアでは、イドゥルフィトリの日には「マーフ」と呼ばれる互いに許し合う行為が広く行われます。家族同士、友人同士はもちろん、職場の同僚やご近所さんに至るまで、それぞれが抱き合い、笑顔を交わしながら「ごめんなさい」「許してください」と互いに声を掛け合うのです。この光景は、見ているだけで心が温まるばかりか、宗教や文化の違いを超えて、誰もが相手を思いやる気持ちを実感できる貴重な瞬間だと思います。

ラマダン最終日に行われる準備

ラマダン終了日には、多くの家庭でイドゥルフィトリの朝に行われる大規模な礼拝に備え、前日から掃除や料理などの準備に追われます。家族が揃って手分けをして掃除をし、断食中は控えられていた豪華な料理の仕込みを行うのです。特に、この日に欠かせない料理として「クトゥパット(米をヤシの葉で包んで茹でたもの)」や「オポール・アヤム(ココナッツミルクで煮込んだチキン料理)」が挙げられます。

また、ラマダン最終日の夜には、地域やコミュニティによっては花火やランタンを灯す行事が行われることもあります。これらの行事には、ラマダン期間中に築いた絆をさらに深めるという意味もあるそうです。人々が集まり、祈りとともに夜空を彩る花火や灯りを楽しむ様子はとても幻想的です。

活気あふれる市場の様子

ラマダン終了日前後の市場は、朝早くから活気に満ちています。特に生鮮食品や調味料を扱う売り場は、多くの買い物客でごった返し、まるで祝祭前夜といった雰囲気です。売り手たちは「新鮮だよ」「美味しいよ」と威勢のいい声を張り上げ、買い手たちは家族に振る舞う食事を想像しながら真剣に品定めをしています。このやりとりを眺めていると、人々の期待や幸せな気持ちが伝わってきて、ただ見ているだけでも心が明るくなるように感じます。

街中で見かけた特別な表情

ラマダンを終えた人々の表情は、どこか安堵感と達成感が入り混じった、清々しい笑顔にあふれています。長期間の断食を終えたことで心身ともに一段落つくと同時に、新しい気持ちでスタートを切ろうという意欲が湧いてくるのかもしれません。すれ違う人々の晴れやかな顔立ちを見るたびに、異文化であるわたしにもその喜びやわくわく感が伝わってくるようでした。

イドゥルフィトリへの気持ちの切り替え

ラマダンが終了し、いよいよ翌日はイドゥルフィトリを迎えます。この日はイスラム教徒にとって、1ヶ月間の苦労をねぎらい、神に感謝する重要な祭日です。ラマダン明けの特別な礼拝では、家族そろってモスクに足を運び、祈りの中で互いに許し合い、幸せを願います。同時に、ラマダン中に培った規律正しい生活リズムや利他の精神を今後の日常にどう生かすかを考える、大切なタイミングでもあります。

身近な人への感謝の言葉を伝えたり、これまで抱えていたわだかまりを解いて心をリセットしたりする方が多いのもこの時期ならではです。こうした行動が新しい生活への弾みとなり、日常をより豊かにする大きなきっかけになるのではないでしょうか。

ラマダンは苦行ではなく、心をリセットする期間

ラマダンと聞くと、長時間の断食を続けるつらさや修行のようなイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、イスラム教徒にとってラマダンは、ただ我慢を強いられる行事ではなく、1年に1度、自分の生活や心の持ち方を見直す大切な時間でもあります。現代社会では忙しさに追われているうちに、食事や睡眠、そして人との関わりまでもがルーティン化してしまいがちです。

そうした中で、ラマダンは思考や行動をリセットし、身体と心を整えながら、神や家族、周囲の人たちへの感謝の念を深める貴重な機会といえます。規則正しい生活リズムを守り、欲望をコントロールしながら過ごすことで、日頃の当たり前がいかにありがたいかを改めて認識できるでしょう。これはイスラム教徒だけでなく、私たちが日々の生活をもう一度見直すうえでも、大きなヒントになるのではないでしょうか。

kenji kuzunuki

葛貫ケンジ@インドネシアの海で闘う社長🇮🇩 Kenndo Fisheries 代表🏢 インドネシア全国の魅力を発信🎥 タコなどの水産会社を経営中25年間サラリーマン人生から、インドネシアで起業してインドネシアライフを満喫しています。 インドネシア情報だけでなく、営業部門に長年いましたので、営業についてや、今プログラミングを勉強中ですので、皆さんのお役にたつ情報をお伝えします。