インドネシアは日本と同じく、国際的には少数派の左側通行・右ハンドルの国です。ジャカルタの道路を見ていると、日本車がとても多いことに気づきます。本日は、インドネシアが左側通行右ハンドルになった由来をお話します。
世界の主流は右側通行であり、例えば、人口大国であるアメリカや中国、ロシア、ヨーロッパ各国(イギリスを除く)など、そのほとんどは右側通行です。
現時点、左側通行を採用する国は、日本、インドネシアのほかに、香港、イギリス、タイ、マレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、ケニア、スリランカ、バングラディッシュ、パキスタンなど、およそ55か国ありますが、それでも世界の国に対しては、約4分の1程度と少数派です。左側通行を採用する国は、イギリスの影響を受けた国が多いようです。
インドネシアはもともとの宗主国オランダが最初は左側通行をしていたので、植民地のインドネシアにもその習慣がはいりました。
ところが、欧州で19世紀初頭にナポレオン帝政が成立すると、支配下に入った国々はフランスに習い、それまで左側通行だったのを右側に変更したのです。
ナポレオンがオランダを併合すると、オランダ本国が右側通行に代わってしまいましたが、東インド(インドネシア)はイギリスが占領して5年間スタンフォード・ラッフルズの統治下にありました。この期間インドネシアはイギリスの統治下にあったので、イギリスと同じ左側通行のまま変更がなかったようです。
その後の英蘭協約(1824年)で、オランダは再び東インド(インドネシア)領を統治下に置くことになりましたが、オランダ本国の財政難で、インドネシアを右側通行に戻す事ができなくなってしまいました。
オランダ本国は右側通行に変わりましたが、インドネシアではその変更が起こらないまま現在に至っているということです。
なぜインドネシアは右ハンドルなのでしょうか。
インドネシアで車に乗っていると、駐車料金や交差点を右折する際のチップなどに現金を受け渡す場面が多くなっていますが、イスラム教徒が多いインドネシアでは、左手は不浄の手とされており、左手で物を受け取ったり渡したりするのは失礼に当たります。
その為車も自然と右ハンドルが受け入れられたようです。そういえば、インドネシアでは左ハンドルの車をほとんど見かけません。
日本が左側通行・右ハンドルになった理由は、昔の武士は左に刀を差していたので、その刀がふれあうのを避けるため人の通行が左側となり車もそれに従った、など諸説あるようですが、宗教や風習が現代社会の常識になっているのはおもしろいですね。
日本車のために、右ハンドルを広めていきたいと思っても、世界のスタンダードが左ハンドルですと、仕様を変えないと現地では受け入れられないですが、インドネシアは日本と一緒の左側通行・右ハンドルです。
インドネシア以外もシンガポール、タイ、マレーシアなどの東南アジアは左側通行・右ハンドルですので、日本の自動車メーカーは、日本と同じ仕様の車が売れるので、おのずと日本車が多く走る事になります。
日本の自動車産業としても、日本市場が縮小していくなか、インドネシアを含む東南アジアで、左側通行で乗りやすい右ハンドルの日本車が増えてくれる事はありがたいですね。