インドネシア財務省が2022年のたばこ物品税(CHT)を平均12%引き上げることを発表しました。3年連続の物品税の引き上げにより、白たばこの小売価格が最も高いもので1箱(20本入)4万ルピアを超えました。インドネシアでは世界的に高い喫煙率ですが、物品税引き上げにより医療費増大に歯止めをかけ、子供の喫煙を防止する上でも効果があるということです。
インドネシアは、たばこやたばこへの依存度が非常に高い国のひとつで、アジアで最も喫煙量の多い国ナンバーワンに選ばれています。
WHOの調査によると、2019年時点でのインドネシア全体の喫煙者の割合は38.1%ですが、男女別でみると、インドネシアの男性の喫煙率は70.5%、女性は5.6%と、圧倒的に男性の喫煙率が多いこと特徴です。男性の喫煙率ですと世界ナンバーワンです。
また、インドネシアの喫煙者の88%がクレテックたばこ(葉たばこにクローブ香辛料などを混ぜたインドネシア特有のたばこ)を愛用していて、クレテックたばこ工場では18万人以上が雇用され、葉タバコ生産者など間接的に1,000万人がたばこ産業に関わっていると言われています。
たばこ物品税が増加するとたばこ消費量が減少しますが、2019年のように物品税上昇が無かった年は、消費量が増加したことが判ります。
2022年からたばこ物品税(CHT)平均12%引き上げを発表したことによって、2022年1月1日よりたばこの小売価格が変更となり値上げとなります。
白たばこ(rokok putih)1箱40,100ルピア(20本入)
クレテックたばこ 1箱38,100ルピア(20本入り)
たばこ物品税を管理しているスリ財務大臣によると、たばこの消費量の減少とたばこ工場で働く労働者への配慮を考え、引き上げ率は2021年の12.5%より低い12%に設定したということですが、2022年度のたばこ生産量を2021年生産量の3201億本から3104億本と3%減少させ、たばこ製造に従事する労働者を減少させたい思いも見え隠れします。
インドネシアの人々の生活の中心に根付いているたばこは、喫煙の影響で毎年30万人近くが亡くなっています。この喫煙習慣により様々な病気が発生するため、国が負担しなければならない社会医療費のコストも非常に高くなります。
政府としては、たばこ物品税を上昇させることで、健康的な生活を送ることで医療費を下げたいとの狙いもあるようです。
インドネシアは、成人のみでなく、未成年の喫煙者が多いことも社会的な問題となっています。10~18歳の子供の喫煙者数を減らし、有病率を引き下げたいと期待しています。