ラマダン中のムスリムの1日の流れ
ムスリムのラマダン期間中、日々は特別なリズムで進みます。ムスリムは夜明け前のイムサックから日没のマグリブまで、自己制御を高め、精神的な成長を促すために、飲食、喫煙、性的活動の断念を含む断食を行います。では、ラマダンの日々は具体的にどのように過ごされるのでしょうか?イムサック (Imsak) から始まり、イシャ (Isya) で終わるまでをお伝えしたいと思います。
お祈りの時間帯
イスラム教は1日5回お祈りの時間がありますが、その時間も太陽の日照時間によってさらに地域によっても変わります。お祈りの「時間」というよりも、お祈りの時間帯が決まっており、その時間帯内でさえあれば、いつでもお祈りをしてよいとされています。早い人は3分以内に済みます。ゆっくり行っても10分程度しかかかりません。きちんと決められた時間に決められた作法でお祈りするのがベストですが、できなければできる範囲ですればいいようです。気持ちがあれば、できる時間にまとめてもいいし、声を出せない環境ならば声に出さなくてもいいように、イスラム教は実は知らない人のイメージよりずっと合理的で寛容な面があります。
サフールからスタート
ラマダンの朝は早くから始まります。夜明け前、時刻は早朝3時30分から4時の間とされていますが、地域によって異なる場合があります。が、日本語の古語の中の「暁(あかつき)」の時間帯に相当すると言われています。日の出の時刻のだいたい1時間半前となりますこの時間帯には、サフールという呼びかけとともに朝早く起きて、早い朝食(サフール)を摂取します。
イムサック (Imsak) は、ラマダンの断食を開始するための時間です。この時刻は、スブー(夜明けの祈り)の10分前に設定され、礼拝参加の呼びかけがあるときには飲食を終了する必要があり、イムサック時間と同時に、断食が正式に始まります。
スブー (Subuh)、またはファジュル は、夜明けの祈りであり、イスラム教の5回の日課の祈りの中で最初です。この祈りの時間は、日の出の前、最も暗い夜明け時に行われます。夜明け、それはシャディクの夜明け、つまり東の地平線に広がるかなり明るい白い光が放つときになります。このシャディクの夜明けに続いて、光はさらに明るくなり、太陽が昇るまで空に広がります。太陽が昇ると、朝の祈りの時間は終わります。
テルビット (Terbit) は日の出の時刻を指しますが、この時刻までにお祈りを終了する必要があります。
ドゥハ (Duha) は、朝の遅い時間に行われる追加の祈りであり、必須ではなく、個人の献身を示すものです。
ズフール (Dzuhur) は、正午の祈りであり、日中の最初の必須の祈りです。正午の祈りの時間は、太陽が真上にあり、西に移動し始めたときに始まります。これはコーランで「太陽のずれ」と呼ばれる期間です。アサールの呼びかけがあるまでに終了する必要があります。
アサール (Ashar) は、ズフールの後の午後の祈りで15時頃訪れます。物体の影の長さが物体自体の長さと同じサイズになったときに始まり、太陽が西の地平線に沈むと時間に終了します。
マグリブ (Magrib) は日没の祈りで、夕方に行われます。この時間になると、断食が終わり、イフタール(断食を破る食事,ブカプアサ)が行われます。イフタールは、通常、水とデーツ(ナツメヤシ)で始まり、その後、より豊かな食事に移ります。この祈りの後、次の日のイムサックまで、食事や飲み物を取ることが許されます。マグリブは日没から始まり、日没後の赤みがかった色であるシャファク(赤い雲)が消えるまでとされています。
イシャ (Isya) は、夜の祈りであり、1日の最後の祈りです。イシャの祈りの期間は一番長く、マグリブが終わった後から、早朝スブーの祈りの呼びかけが鳴る前までにお祈りをすればよいそうです。
ラマダンの期間中、ムスリムはタラウィーと呼ばれる特別な夜間の礼拝を行います。これは、イシャの祈りの後に行われ、クルアーンの朗読を伴います。タラウィーは、一人で自宅で行うことも、家族やコミュニティと一緒にモスクで行うこともあります。タラウィーの後には、クルアーンの追加の朗読が行われることが多く、これは精神的な成長と神への献身を深める機会とされています。
ラマダン期間中のムスリムの日々の流れを少しでも感じ取っていただければ幸いです。