インドネシアではコロナ感染対策やワクチン接種等の最重要課題に専心している中、ジョコウィ大統領の閣僚の一人であるサンディアガ・ウノ観光クリエイティブエコノミー大臣の露出が増えています。インドネシアへの外国人観光客の入国再開に向けて、今後ウノ観光大臣の動向に注目が集まっています。今回は、ウノ大臣についてご紹介したいと思います。
米国のワシントン大学をMBA卒業後、実業家として数々の会社を経営し、2013年のフォーブスで資産4億6千万米ドルとインドネシアで47番目の裕福な人にランクインした億万長者でもあります。
2015年に実業家としての役職を辞任し、ビジネスの世界から政治に参入しました。そして、2017年にジャカルタ特別州アニス知事の元、副知事に就任しました。
その後、ウノ氏は、2019年の大統領選でジョコウィ大統領の対抗馬として争ったプラボウォ氏の副大統領候補として立候補しましたが、敗北しました。
ウノ氏はジョコウィ大統領とは「政敵」であり、落選後は、ウノ氏は何の役職も就任していませんでしたが、2020年12月9日の統一地方選挙で北スマトラ州メダン市長選に立候補したジョコウィ大統領の娘婿ボビー・アフィフ・ナスティオン氏の選挙対策チームのアドバイザーに加わり、見事ボビー氏を当選に導きました。
統一地方選挙後2020年12月22日に発表されたウノ氏の観光大臣の入閣は驚きをもって迎えられました。
もっとも大統領選で戦った、プラボウォ氏も第2期ジョコウィ内閣では国防相という要職で入閣し、「グリンドラ党」も野党から与党となったように、インドネシアでは選挙終われば敵味方なしで、何でもありという「インドネシア流」からすれば、驚くほどではないとも言えます。
プラボウォ氏の副大統領候補としてウノ氏が擁されたのもビジネスマンとしての手腕、財力そして特に女性中心とした若者の人気度を当て込んだもので、必ずしも政治的な立場や姿勢を反映したものではなかったと指摘されていました。
ジョコウィ大統領にとっても、幅広い人材の閣僚登用による政権の浮揚、支持率上昇にサンディアガ氏は格好の人材だったといえるのでしょう。
就任直後からそうしたジョコウィ大統領の思惑を反映したようにサンディアガ観光相は積極的に動きました。
バリ島やバタム島に直接赴いてコロナ禍で低迷する観光業への支援や回復策などを次々と提案し、今後の観光再開で、外国人入国再開に向けて協議を続けています。
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2024年の次期大統領選でウノ観光大臣の出馬を求める声は根強いといえるでしょう。3度目の正直で出馬するとみられるプラボウォ氏とペアを組む可能性より、新たな大統領候補と組んで「次の、次の大統領」を目指すともいわれています。
その為にもウノ観光大臣が閣僚としての実績を積み重ね、人気の維持が必要不可欠なことが、昨今の積極的な活動ぶりの背景にあるとの見方が有力です。
コロナに打ち勝ち、インドネシア観光業が復活して経済が活況となり、ウノ大臣の功績が讃えられれば、次期有力大統領候補として、名乗りを上げる日も近いのかもしれません。