夕陽に包まれるスマラン・タワン駅から、ジャワ島列車旅へ
マカッサルからの旅路を経て、中部ジャワの歴史あるスマラン・タワン駅にたどり着きました。インドネシアで初めて鉄道が開通したこの駅は、古き良きオランダ植民地時代の建築を色濃く残し、訪れる人々に時の流れを感じさせる風情が漂います。夕陽が美しく駅を照らす中、この場所からジャワ島横断の列車旅が始まります。次の目的地チルボンまで、列車でのんびりと旅をするひとときは、日常から離れた冒険の始まりです。
夕陽が美しいスマラン・タワン駅でのひととき
ジャワ島の中心部、スマラン・タワン駅に到着したのは、ちょうど夕陽が空をオレンジ色に染め始める頃。スマラン・タワン駅は1867年にインドネシアで初めて鉄道が開通した歴史的な駅として有名で、駅舎はオランダ植民地時代の建築様式を色濃く残しています。赤レンガの壁やアーチ型の窓枠など、クラシックなデザインが印象的で、訪れる人々に時代を遡る感覚をもたらしてくれるようです。
駅前には広がる穏やかな「ポルダー・タワン」の池があり、夕陽が水面に反射して幻想的な雰囲気を醸し出しています。この美しい光景は、地元の人々にも人気のスポットであり、特にプレウェディングの写真撮影やイベントなどでよく利用されています。池に映る駅舎のシルエットが夕陽とともに変化し、刻一刻と変わる光の具合を楽しんでいると、旅の疲れが自然と癒されるような心地よさが広がってきました。
ポルダー・タワンの役割
スマラン・タワン駅に併設された「ポルダー・タワン」は、スマラン市の水害対策として1998年に設置されたシステムです。インドネシアは降雨量が多く、特にスマラン市内は洪水の影響を受けやすい地域の一つで、周辺地域の水位を管理しながら市内の水害リスクを軽減する役割を担っています。このポルダーは約70ヘクタールの集水エリアを持ち、周囲には堤防や排水門、ポンプなどが設置されています。市内の洪水被害を未然に防ぎながら、市民の生活環境を保護する重要なインフラです。
この池には周辺からの水が集まり、豪雨や増水時には排水システムが作動して水位を調整します。また、池の周辺は緑に囲まれており、日中は涼しげな風が通り抜け、穏やかな時間が流れます。夕方には訪れる人々が増え、家族連れやカップルが池の周りを散策しながら、くつろぎの時間を過ごす光景が見られました。ポルダー・タワンはこの地域に欠かせないインフラでありながら、美しい景観が訪れる人々に安らぎを与える空間でもあるのです。
マタルマジャ列車での出発準備
駅のホームで夕暮れに包まれながら、出発を待つ時間もまた旅の醍醐味のひとつです。今回乗車するのは、スマランからチルボンまで約3時間かけて移動する「マタルマジャ(MATARMAJA)列車」。この列車は、東ジャワのマランからジャカルタのパサール・スネン駅まで880kmを走破する、長距離移動の要としてインドネシア全土で利用されています。ジャワ島の東から西を横断する長旅は15時間以上にも及び、沿線を移動する人々にとって重要な交通手段です。
列車が到着するのを待つ間、ホームで聞こえるアナウンスや足音、列車の到着音が、旅の期待感を高めてくれます。車窓から広がる田園風景や小さな町並みを想像しながら、しばし駅の雰囲気に浸っていました。時刻は夕方の17時44分、列車は定刻に到着しました。
ローカル感あふれるエコノミークラスの車両
ホームに列車が到着し、私は9号車のエコノミークラスに乗り込みました。エコノミークラスの座席配置は3-2の対面式で、リクライニングができないシンプルな造り。最初は少し窮屈に感じるかもしれませんが、このローカルな雰囲気が旅情をそそります。
ジャワ島を長時間かけて移動するこの列車で、エコノミークラスを通しで利用するには、少々の忍耐が必要かもしれません。しかし、幸運なことに隣の席は空いており、ゆったりとしたスペースでリラックスして座ることができました。列車のベルが鳴り響き、ついにスマランを後にしてチルボンへ向けた旅が始まりました。ホームから離れ、静かにスピードを上げる列車に身を委ね、日常の喧騒から解放される心地よさを感じます。
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