マカッサル(インドネシア)での海外生活を通じて身につけた「生き抜くスキル」を10の見出しに分けご紹介します。日本とは気候や文化、日常のリズムが大きく異なるため、初めての方にとっては戸惑いも多いでしょう。しかし、ローカルの風習や生活スタイルを理解し、自分なりの工夫を取り入れれば、マカッサルでの生活は驚くほど充実したものになります。
マカッサルが位置するスラウェシ島は、インドネシアの中でも多様な文化と民族が入り混じる場所です。地元のブギス人やマカッサル人のほか、ジャワ島やバリ島、他の島々からの移住者も多く、文化的な彩りは非常に豊か。言語も、インドネシア語だけでなく、ブギス語やマカッサル語が飛び交うことも珍しくありません。
習慣や考え方が異なる人々との付き合いでは、「なぜ、そういう風習があるのだろう?」と興味を持ち、自分から質問をして学ぶ姿勢が大切です。たとえば、宗教行事や結婚式の作法など、現地ならではの慣習に触れることで、深いレベルでの理解が得られ、相手の文化を尊重できるようになります。こうした姿勢は、信頼関係の構築にもつながるでしょう。
マカッサルでは英語が通じるレストランやホテルも増えているものの、まだまだインドネシア語がメインです。現地の人々はとてもフレンドリーなので、挨拶一つで一気に距離が縮まります。なかなか、長期間マカッサルに滞在していても、インドネシア語の習得は時間がかかります。日常生活やトラブル対応に使えるフレーズは、一度覚えると非常に便利です。まずは、買い物や移動、レストランなどの日常会話を習得して言葉の壁をなくすと、会話が楽しくなってきます。また、最初のうちはスマホの翻訳アプリも組み合わせると、会話のハードルがぐっと下がるでしょう。
インドネシアの地方都市では、インフラが安定しないこともしばしば。停電や断水が突然起こったり、大雨で道路が冠水して交通がマヒすることもあります。事前に「停電用の懐中電灯やモバイルバッテリーを用意する」「断水時に使えるための水のストックを置いておく」など、備えをしておきましょう。
トラブルが発生したら、近所や友人、職場の同僚に相談すると、すぐに解決策を教えてくれるケースが多いです。海外生活では一人で何でも完結しようとせず、人に助けを求める柔軟さが必要。マカッサルの人々は温かい心を持ち、困っている人を放っておかない文化が根付いています。
インドネシアでは、相手の顔を立てて優しい言葉をかける「バサ・バシ(社交辞令)」が重視されます。しかし、自分の意見や要求を曖昧に伝えると、「断りたいのか受けたいのか分からない」「何を求めているのか不明」と受け取られてしまうことも。
たとえば、現地の人から食事のお誘いを受けた場合、本当に時間がなければ「今日は難しいけれど、次の機会にぜひ」などとはっきり伝えると、後々のトラブルを回避できます。
ビジネスの場では、要求や締め切りなどをはっきり伝えつつ、相手の状況や考えにも配慮するのが理想的です。相手への配慮と自分の意思表示のバランスが取れれば、お互いがストレスを感じにくい関係を築けるでしょう。
マカッサルの街には「テマンバス(市内バス)」「ペテペテ(ミニバス)」「ベチャ(人力車)」「オジェック(バイクタクシー)」などのローカル交通が揃っています。ペテペテはコースが決まっており、決まったルートを循環しているため、最初は路線を把握するのに時間がかかるかもしれません。慣れるまで地元の友人やSNS情報を頼りましょう。マカッサルでも「Gojek」や「Grab」といった配車アプリが普及しています。目的地を入力すれば料金が事前にわかり、相乗りのバイクや車がすぐに来てくれるため、ぼったくりのリスクも低減。交通量が多いマカッサルでは、渋滞を避けたいときにバイクタクシーが便利です。安全のため、ヘルメットやマスクの着用を忘れずに。
パサール(市場)や街中の露店など、値札がないお店では、最初に提示された金額が観光客向けに高めになっている場合も少なくありません。交渉の際は、近隣の店を数軒見て回り、相場をつかむところからスタート。いきなり強い調子で値切るのではなく、にこやかに「Berapa bisa kurang?(いくらまで下がりますか?)」と尋ねるのがおすすめです。
「安くしてもらう」のが目的ではありますが、そこにはローカルとの会話を楽しむ要素も含まれています。何度かやり取りをして「仲良くなった」と思えたら、自然に割引を提案してくれることも。無理な値引きを要求すると関係が悪くなるので、適度なラインを見極めることが大切です。
海外では役所の手続き、ビザの更新、仕事、住まい探し、生活必需品の調達など、多くのことを同時に進める必要が出てきます。特にマカッサルは、都市化が進んでいる一方で手続きがアナログな面もあり、書類の不備など予想外のことで時間を取られがちです。
マルチタスクを上手にこなすコツは、「今何をやるべきか」を明確にすること。スマホのリマインダーやアプリを活用し、優先度の高いタスクから片付ける習慣をつけましょう。締め切りは余裕をもって設定し、書類のコピーや証明写真など、よく使うものを常にストックしておくとスムーズです。
マカッサルでしか体験できないこととしては、数多くある離島でのマリンスポーツや、地元の大学(ハサヌディン大学など)との交流などもあります。また、イベントやフェスティバルも頻繁に開催されているので、SNSや現地の掲示板をチェックして参加するのもおすすめ。そうした場で友人や知り合いができれば、一気に生活の幅が広がるでしょう。
たとえば「現地の食材を使った料理にトライする」「地方へのひとり旅にでる」など、自分だけで挑戦できることはたくさんあります。最初は難しく感じても、続けていくうちに驚くほど慣れてきます。こうした経験が自信となり、さらに大きなチャレンジへとつながっていくのです。
マカッサルはシーフードやローカル料理が美味しく、外食は比較的安価です。しかし、毎日外食では塩分や油分が多めになりがちで、長期的な健康管理が難しい面があります。そこで役立つのが自炊力。ローカルマーケット(パサール)では、新鮮な魚や野菜、南国フルーツが手頃な価格で手に入ります。
市場や屋台のおばさんに「この食材はどう料理するの?」と尋ねると、親切に教えてくれることが多いです。例えば、マカッサル名物の「チョト・マカッサル(Coto Makassar)」用のスープの作り方や、スラウェシ島特有のスパイスの使い方など、ローカルならではの知恵を直に学べるチャンス。自炊を習慣化すると食費の節約にもなり、より健康的な食生活を維持できます。
海外生活でストレスを感じる大きな要因の一つが、日本と比べて「時間がルーズ」な場面が多いこと。約束の時間になっても連絡がない、役所の手続きが遅々として進まない…といったことは日常茶飯事です。こうした状況にイライラするよりも、「こういう文化なんだな」と受け入れる姿勢を持つことが大切。
想定外の出来事に直面しても、「どうすれば解決できるか」をポジティブに考えてみましょう。自分だけで考え込まず、周囲に助けを求めれば想像以上にスムーズに事が運ぶことも多々あります。おおらかな心と、面白がる気持ちこそが、海外生活を成功させる最も重要なポイントといえるでしょう。
マカッサルでの生活は、異文化との出会いや予期せぬトラブルなど、刺激に満ちた日々の連続です。しかし、そこで身につく「異文化理解」「サバイバルインドネシア語」「トラブル対応力」「明確な意思表示力」「交渉力」などは、今後の人生にも大いに役立つ貴重な資産となります。
また、マルチタスクをこなしながら意欲的に挑戦し、自炊や健康管理をしっかり行うことで、心身ともに充実した海外生活を送ることが可能です。最後に大切なのは、心のゆとりと柔軟性を保ち、違いを楽しむ姿勢を持ち続けることが大事なのかと思います。