ジョグジャカルタでの滞在を終え、次なる目的地であるスラカルタに移動します。この古都スラカルタでのジャワの伝統文化の魅力を感じるため、鉄道での移動を選びました。
ジョグジャカルタは、ボロブドゥール寺院やプランバナン寺院などの歴史的な名所で知られるジャワの古都として、まさにインドネシアの京都と言える場所です。一方、その近郊に位置するスラカルタ、通称ソロもまた、その歴史的背景から、奈良のような存在として親しまれています。ジョグジャカルタからソロへの距離は約60kmで、車での移動時間は約1時間半から2時間、鉄道での移動時間は約1時間です。今回、スラカルタ(ソロ)まで鉄道で移動するのを楽しみにしていました。
ホテルを出発し、タクシーでジョグジャカルタ駅に到着しました。ジョグジャカルタの中心駅であるジョグジャカルタ駅は、トゥグ駅とも呼ばれ、ジャカルタやスラバヤなどからの長距離列車や、ジョグジャカルタ国際空港までの空港アクセス鉄道が発着し、ジョグジャカルタの代表駅として機能しています。
白壁の駅舎は、ジョグジャカルタの歴史を物語っています。
事前にネットで予約していたため、自動のチェックイン機に予約番号を入力すると、スムーズにチケットが発行されます。私は飛行機と同じようなシステムで、座席が指定されたチケットを持って改札の中に入りました。
プラットホームは1~6番線まで6つあり、ちょうど真ん中にレストランや売店などが配置されていて、乗客の待合場所になっています。
出発時間よりも早めに到着したので、駅のなかにあるロコカフェでコーヒーを飲みながら待ちます。
サンチャカ号は、ジョグジャカルタとスラバヤを結ぶ優等列車で、311km離れた両都市を4時間ほどで走行します。
列車出発は午前11時30分ですが、始発ということもあり、早めに列車が入線してきました。
機関車の入れ替えを行うようで、そちらを間近で見学することができました。
サンチャカにはエグゼクティブおよびプレミアムエコノミーの2種類の座席があり、3号車のプレミアムエコノミーで移動します。
1両に2×2の座席が80席あり、中央座席で向かい合わせになった座席固定の席です。シートはあらかじめちょっとだけ倒れていますが、リクライニングはできません。座席に荷物を置いて、列車の中を探検すると食堂車がついています。
お弁当や飲み物などを注文して、その場で食べることも可能です。
ソロと言えば、多くの人々にとってブンガワン・ソロ(Bengawan Solo)の名曲が頭に浮かびます。この名曲は、インドネシアのジャワ島中部の風景と、その中を流れるソロ川の美しさを讃えています。1940年代に作られ、戦時中にジャワ島に進駐した日本軍への慰問などを通じ日本兵にも愛唱され、近所の集会所や結婚式で歌っているうちに評判になり、ラジオ放送され広く知れわたったそうです。日本では1947年(昭和22年)に松田トシが日本語の歌詞を付けて歌いヒットしました。1951年には映画『ブンガワン・ソロ』も製作されました。列車の中から見えるソロ川の風景と、その歴史的背景に思いを馳せながら、ソロへと足を運ぶのは、まさに特別な経験です。ソロの到着は12時15分と45分間の列車の旅となります。インドネシアでブンガワン・ソロの穏やかなメロディを聞きながらソロへと出発しました。