海外でも「SUSHI」の看板をみかける見かけることは特に珍しいことではありませんが、その実態は様々で、日本で修行を積んだ職人が新鮮なネタを提供する本格的な寿司を食べられるお店がある一方で、ちょっと違うと違和感たっぷりのローカル寿司屋も数多く存在します。マカッサルのローカル寿司屋での違和感を存分に味わってきました。
日本で寿司といえば「にぎり」ですが、海外では寿司というとロール巻の寿司が一般的です。アボカドやサーモンなどが中芯としては人気で、赤や緑などの派手な色使いが現地の人に受け入れられています。にぎりもあるのですが、サーモンやマグロなどが申し訳程度についているパターンが多いようです。
海外の人は生魚を食べる習慣がないので、ネタも加熱されたものが多く、生魚が入った寿司は人気がでないようです。日本人である自分としては、海外の「SUSHI」に違和感があり、あえて高いお金を出して口に合わないリスクがあるのであれば、行かない方が良いと思っているのですが、現地の人が寿司を食べたいと言われれば付き合う必要もでてきます。
以前からこの場所ローカル寿司屋があることは知っていましたが、今まで食べる機会も無かったのですが、昼食ついでに入ってみることにしました。
店内はテーブル席と座敷に分かれている小さなローカル寿司屋です。土曜日の昼過ぎなのにお客は誰もおらず、店選びを失敗した感じを思いつつも、後にもひけずとりあえずメニューを見てみることにします。店内のポスターもロール寿司を押しているようで、はしごセットという台に載せられたロール寿司が違和感満載です。
どれにしようか迷いながら、ちょっとつまむ程度に、タコサラダ、サーモン巻を頼みました。
インドネシア人はサーモンが大好きで、必ずと言って良いくらいサーモンはメニューにあります。インドネシアではサーモンが獲れないし、インドネシアの魚はマグロを含めて脂がないので、輸入サーモンの脂が大好きです。
サーモンは比較的外れのないネタなので、期待はしましたが、出てきたのは鮭フレークを巻いた寿司でした。メニュ-の写真は明らかに生サーモンを巻いていましたが、やっぱりという感じです。
サーモン巻の上に甘タレを載せないで欲しいところでありますが、こちらもメニューにはタレ付き出ない写真でありましたが、見事に違います。食べれば当然鮭フレークの味で、形は違うがサーモン巻ではなく、鮭おにぎりとして思いながら食べるとしっくりきます。
次にタコサラダがやってきました。タコは仕事柄食べるようにしているのですが、サーモン巻同様にこちらも変なサラダへと変貌していました。
タコはイイダコを使用した中華風に味付けしているものです。茎わかめを使用した中華わかめサラダとセットで世界中の日本食寿司店にある定番メニューですが、マカッサルでは、なぜかトッピングにスイカがついてきました。
玉ねぎスライスの上に中華イイダコが少し載せられ、こちらも甘いタレがふんだんにかかっています。タコがほとんど見当たらず、タレでボリューム感を出しています。タコサラダではなくタレサラダです。サラダでさっぱりと食べたいところではありますが、余計にこってりしてしまいます。
2品食べてみて店を出ることになりましたが、想像以上に寿司ではないものに変化しています。日本食はヘルシーで美味しいと海外のどこでも食べられるようになってきていますが、あきらかに日本の寿司とは違う変化が起きています。日本人が思う「寿司」のイメージと海外での「SUSHI」は全く別物として考える必要があります。
日本スタイルではない独自の食べものである「SUSHI」として世界中で愛されているからこそ、マカッサルのような地方都市でもローカル寿司屋があるのは喜ばしいのかもしれません。
日本人にとって、海外のSUSHIは寿司でないと思ってしまいますが、現地の人々の口にあった進化の結果であると認識しないといけないのかもしれません。