2024年1月1日から、インドネシア政府は国産及び輸入アルコール飲料に対するアルコール税の大幅な引き上げを実施しました。この税率改定は、特に海外駐在員の日常生活に密接な関係があるビールの価格に大きな影響を及ぼしています。以下では、この税率改定の詳細、背景、及びインドネシアの飲酒文化と消費者への影響について詳しく掘り下げます。
インドネシア政府は、今年1月からアルコール度数5%以下の飲料に対する酒税を1リットル当たり現行の1万5,000ルピアから1万6,500ルピア(約155円)に引き上げ、10%増としました。この酒税改定は2019年以来4年ぶりです。この税率引き上げは、特にビールなどの低アルコール飲料の価格に直接的な影響を及ぼしました。国産ビールの価格は税率の上昇に伴い値上がりし、インドネシアで人気の「ビンタンビール」や「アンカービール」もアルコール度数4.7%で対象となりました。
グループA: アルコール度数5%未満(国産品16,500、輸入品16,500)
グループB: アルコール度数5-20%(国産品42,500、輸入品53,000)
グループC: アルコール度数20-55%(国産品101,000、輸入品152,000)
新しい酒税体系では、アルコール飲料がアルコール度数に基づいて3つのグループに分類されます。グループAは5%以下、グループBは5-20%、グループCは20-55%のアルコール度数を持つ飲料が含まれます。これらのグループに基づき、酒税が異なる割合で引き上げられており、グループAは10%増、グループBは20.5%〜28.8%増、グループCは9.4%〜26.3%増となりました。
インドネシアはイスラム教徒が多数を占める国であり、アルコール飲料に対する規制は厳格です。政府は特に若年層の飲酒を懸念し、健康や公共の安全を守るために税率を引き上げる決定をしました。また、アルコール飲料の販売は特定の地域や条件下でのみ許可され、一般的な小売店では販売が制限されています。
高い酒税はインドネシアのアルコール市場に大きな経済的影響を及ぼしています。これにより、アルコール飲料は超高級品と見なされ、一般市民にとっては手が届きにくい商品になりつつあります。特に、輸入品に対する高額な酒税はインドネシア国内でのアルコール消費を抑制する効果が期待されています。
インドネシアは観光業が盛んな国の一つであり、酒税の引き上げは観光業にも影響を及ぼす可能性があります。特に、アルコールを楽しみにする観光客にとって、高価格のビールやその他のアルコール飲料は、インドネシアへの旅行の魅力を損なう要因となるかもしれません。
インドネシアでビールなどアルコール全般を購入することは難しくなっています。ワインやウイスキーを含む輸入物のお酒には高額な酒税がかかり、その価格は数倍になることもあります。国民の約9割がイスラム教徒であり、イスラム教ではアルコールが禁じられているため、この事情はやむを得ないのかもしれません。もちろん、インドネシアの物価全体と比較してお酒の価格自体が高いことも、この国のお酒需要が低い理由の一つでしょう。駐在者にとっては大きな問題の一つとなっています。