インドネシアには、お茶を楽しむ文化が根付いています。インドネシア語でお茶は「Teh(テー)」と呼ばれ、その中でも特に紅茶は人気です。イスラム教徒が国民の大多数を占めるインドネシアでは、アルコール文化があまりなく、その代わりとしてコーヒーや紅茶が日常的に楽しまれています。実は、インドネシアはコーヒーの産地としてだけでなく、紅茶の生産量でも世界有数の国なのです。
オランダの植民地時代から始まる紅茶の歴史は、1870年代にスリランカから持ち込まれたアッサム種によって本格化しました。戦争により、茶園は大きな被害を受けましたが、戦後、国有化された茶園によってジャワ島、スマトラ島を中心に生産が増えていきます。
ジャワ島やスマトラ島を中心に紅茶を生産しているインドネシアは、世界第4位の生産量を誇ります。
インド 約100万トン
スリランカ 約32万トン
ケニア 約30万トン
インドネシア 約15万トン
バングラデシュ 約6万トン
インドネシア紅茶の約90%がジャワ島とスマトラ島で作られています。
ジャワ島(西部)…約65%
スマトラ島(北部)…約25%
特に有名なのは、明るい赤色で渋みが少なく飲みやすいジャワティーと、濃い赤色でクセが少ないスマトラティーです。これらはインドネシア国内外で愛されています。ジャワティーはジャワ島で生産され、明るい赤色の水色で渋みやクセがなく飲みやすいのが特徴です。インドネシア紅茶はほとんどが標高600m以下の茶園で作られるローグロウンティーで、気候や地形がセイロン島に似ていることから、紅茶の特徴も良く似ています。
スマトラティーはインドネシア北部のメダン高原で栽培され、濃い赤色の水色で、ジャワティーと同じように渋みやクセが少ないのが特徴です。
紅茶はティーバッグを使ってホットティーやアイスティーとして楽しまれます。
インドネシアでは、ジャスミン茶、緑茶、紅茶、烏龍茶、白茶の5種類が人気ですが、最も人気があるのは紅茶(Teh Merah/Teh Hitam)です。Teh Merahは「赤いお茶」という意味ですが、濃い紅茶は黒く見えるため、インドネシア人は紅茶をTeh Hitam「黒いお茶」とも呼んでいます。紅茶はインドネシアで一番よく販売されているお茶の種類です。インドネシアの紅茶は、日本の紅茶に比べて香りと味に少し甘みがあります。
インドネシアの緑茶は日本の緑茶と味と色が少し違います。インドネシアの緑茶の味は濃く、色は緑ではなく茶色いです。インドネシアの緑茶は西ジャワ州で沢山作られています。ちなみにインドネシアでは「日本のお茶」といえば、緑茶ではなく抹茶のことだと思っている人が多いです。インドネシアでは「抹茶味」とラベルされているお菓子などが沢山販売されています。
インドネシアでは、男性がコーヒーを好み、女性は紅茶を好む傾向にあります。一般的にはジャスミンの花や香りが付いたジャスミンティーが好まれ、多くの場合、たっぷりと砂糖が加えられます。
甘くない紅茶を飲みたい場合には、「テ・タワール」と言います。
伝統的なインドネシアのお菓子と一緒に楽しむティータイムは、家庭やお店での一時の憩いです。
インドネシアの紅茶は、その豊かな歴史、多様な種類、そして文化的な重要性を通じて、国内外で高く評価されています。ジャワティーとスマトラティーのような独自の品種は、その明るい赤色と渋みの少なさで知られ、国内外のお茶愛好家から愛されています。インドネシアでは、紅茶は単なる飲料ではなく、社会的な集まりや家庭でのくつろぎの時の必需品です。
このように、インドネシアの紅茶は、その独特の歴史、文化、そして味わいを通じて、国内外で独自の地位を築いています。紅茶を通じて、インドネシアの豊かな文化と伝統を垣間見ることができます。