【コーヒー革命への挑戦】キーコーヒーのトラジャ・コーヒー開発
キーコーヒーは、かつて「幻のコーヒー」と称されたインドネシア・スラウェシ島トラジャ地方のアラビカ種、トラジャコーヒーの復活に成功しました。この地域のコーヒーは、大戦の混乱を経て市場から姿を消していましたが、キーコーヒーの尽力により、再びコーヒー愛好者の間でその価値が認められるようになりました。
トラジャコーヒー復活
トラジャコーヒーは、かつて「セレベス(スラウェシ)の名品」と謳われ、大戦の混乱の中、市場から姿を消し、「幻のコーヒー」と言われていたインドネシア・スラウェシ島 トラジャ地方にのみ産するアラビカ種のコーヒーです。トラジャコーヒーの歴史は、かつて第二次世界大戦により荒廃したものの、キーコーヒーによって見事な復活を遂げました。
トアルコ・トラジャとは
当社は1973年にインドネシアで現地調査を開始し、その後インドネシアに現地法人トアルコ・ジャヤ社を設立しました。日本企業が持つ直営農園としては最大級の「パダマラン農園」を開墾し、本格的なトラジャ事業をスタートしました。トラジャコーヒーの栽培地域は、弱酸性の土壌、適度な年間降雨量、昼夜の大きな寒暖差など、コーヒー作りに必要な理想的条件をすべて満たしており、実が固く引き締まり、香り高く味わい深いコーヒーが特徴です。商品名には“トラジャアラビカコーヒー(Toraja Arabica Coffee)”の頭文字からトアルコ(Toarco)と地域名のトラジャを合わせて『トアルコ トラジャ』と命名し、「いま甦る幻のコーヒー」のキャッチコピーで1978年に発売し、45周年を迎えました。
キーコーヒーのサステナブル経営の柱は、旗艦のコーヒーブランド「トアルコ トラジャ」の生産地であるインドネシア・スラウェシ島の秘境・トラジャの山岳地帯にある。
同社はここに、現地法人トアルコ・ジャヤ社を1976年に設立し東京ドーム約113個分の530haという広大な面積を持つパダマラン農園を直営しているほか、周辺の協力生産農家や仲買人からコーヒー豆を買い付けている。トアルコ・ジャヤ社が協力生産農家と信頼関係を構築している。出張集買所を設けてコーヒー豆を買い付けているほか、栽培講習会を実施し生産効率の向上に取り組んでいる。生活向上には、優秀な協力生産農家を讃えてコーヒー豆の品質アップを促進する「キーコーヒーアワード」を創設したそうで「生産者を育成し、われわれも生産者から教えを受けたりする持ちつ持たれつの関係にある」という。
ランテパオ集買所
ランテパオの集買所は、他の集買所から集められたコーヒー豆が運び込まれる基地であり、またトアルコジャヤ社の住民栽培コーヒー事業とパダマラン農場開発事業を統括する事務所が置かれているところでもあります。集買されるコーヒー豆の品質を高める取り組みとして、1993年から仲買人や栽培農家の登録制度を導入しているという。この登録制度により、誰が、いつ、どこから、どのような豆を持ち込んだのかを追跡できるようになったそうです。また仲買人が栽培農家から豆を買い取るときにも、きちんと記録することが義務付けられているため、欠点豆や不正があったときには、生産者まで遡れる仕組みになっている。当然、豆を持ち込む人は、自分で持ち込む豆に責任を持つようになります。
ランテパオの集買所の主な役割は、集買されるコーヒー豆の品質管理となります。60キロの麻袋ごとにサンプルを取り出し、豆の大きさや割れ豆やカビ豆などが混入していないかをチェックする。
さらにそれを脱殻したものを実際に焙煎し、“カップテスト”と呼ばれる味覚評価が行われる。
こうした検査をすべてクリアした豆だけが、パダマラン農場内にある精選加工工場へと運ばれる。
パダマラン農園
農園へはタナトラジャ村の中心地ランテパオから車で約1時間、途中の道路はキーコーヒーが作ったものと言われ、その道中はまるで遊園地のアトラクションのような迫力を持っています。ランテパオから車で約1時間弱、幹線道路から左に折れ、農場までのアクセス道に入る。これが、開墾当時にトアルコ・ジャヤ社が切り開いた道だ。幹線道路から農場の入り口まで約6キロあまり、このアクセス道路の建設をトラジャ県に依頼するも着工の目処すら立たずに断念、その後、自力で造成しています。県の公道となった今でも、初代パダマラン農場長だった清野剛氏の名前にちなみ、「清野道路」(ジャラン・セノー)と呼ばれ、農場で働く人はもちろん、周辺住民の生活道として多くの人に利用されています。
こうしてアクセス道路の建設から始まったパダマラン農場開発は、ジャングルの開墾、農道整備、コーヒーテラスの造成、苗木づくり、肥料づくりなどが進められ、コーヒー栽培用地に苗木の植え付けが完了しました。アクセス道路の建設を始めてから4年近くを要したそうです。
コーヒーの木と実
パダマンラン農園の一番標高が高い約1,200mの場所へとやってきました。景色の良さだけでなく、農園の広さを実感できる所でした。
コーヒーの木は、日本の果樹園の整然とした並びとは異なり、パダマラン農園は自然のままの姿育てられています。
収穫時期は6月から9月頃までで、コーヒーチェリーを全て手摘みで行っているというからびっくりします。足場が悪く自然のままに育ったコーヒーチェリーは、1日20人から100人体制で、1人1日20Kgほどしか収穫できないそうです。この3年間は気候変動の影響で収穫量がかなり減っているそうです。
パダマラン農園産のコーヒーを味わう
ゲストハウス的なトンコナンの下でパダマラン農園産の摘みたてのコーヒーを味わいました。[甘み」と「強いコク」があり、そこにほのかな「苦味」と「酸味」が合わさり、全体的にバランスが良いのが特徴です。さっぱりした味わいながら、深いコクが楽しめるので、飲みごたえがあります。フルーティでさっぱりとした甘味と同時に、軽やかな酸味を感じる味わいです。コクに力強さがある反面、滑らかさも兼ね備えてます。一緒にいただいた、「トリ」と呼ばれるトラジャ名産のかりんとうのようなお菓子との相性は抜群でした。
再興当時の写真を見せていただきながら、そして、その農園で栽培されているコーヒーの木や実を間近に見ることで、コーヒーの生産に対するトラジャとキーコーヒーの努力と熱意を感じることができました。
コーヒー豆の選別
摘み取られたコーヒーチェリーは、皮を剥いて果肉を取り除いていくとコーヒー豆にはヌメリが付いています。ノリみたいにぬるぬるしているのです。
これを1日水を漬けて発酵させます。水洗いしたらヌメリが取れます。発酵させるとコーヒー豆の表面のヌメリがきれいに取れます。その後乾燥工程となり、天日だと7日、乾燥機を使用すると2日かかります。
工場内部を見学する機会も得られました。
コーヒー豆の選別は機械が使用されていますが、最終検品は、現在でも目視により行われていて、職人の技とも言える手際の良さには感動させられます。最後に品質にバラつきが出ないよう自分たちで収穫し精製した豆のカップテストを行っています。
気候変動による危機
コーヒー愛好者にとって、トラジャの地は聖地とも言える存在であり、その味わい深いコーヒーは世界中で愛されています。しかしながら、この聖地トラジャは現在、気候変動の影響により、そのコーヒー生産が大きな危機に立たされていると言われています。国際的なコーヒー研究機関であるワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)は、今後30年でコーヒーの生育可能地域が半減する可能性に警鐘を鳴らしています。
そんな中、トラジャコーヒーを世界ブランドに成長させたキーコーヒーは、WCRやインドネシア・コーヒー・カカオ研究所と連携し、気候変動や病害虫に対抗しながらも品質を保ったコーヒー栽培の技術開発に努めています。これは、トラジャから始まる新たなコーヒー革命とも言える動きであり、コーヒー愛好者にとっては期待を抱かせる展開となるでしょう。
トラジャコーヒーはアラビカ種です。このアラビカ種はロブスタ種に比べ高値で取引されるが、病虫害に弱いことから栽培が難しく、トラジャ事業が始まるまでは敬遠されてきたという背景があります。この地にアラビカ種を広めたのはまさしくキーコーヒーであり、こうした視点からもトラジャ事業がこの地に与えた影響の大きさを窺い知ることができます。
まとめ
この訪問を通じて、トラジャのコーヒー産業が直面する課題と、それに立ち向かうキーコーヒーの取り組みを肌で感じることができました。コーヒーの栽培、生産に至るまでのプロセスの奥深さと、それを支える多くの人々の努力に改めて敬意を表すると共に、一杯のコーヒーを飲む度にその背景を思い返すことでしょう。
そして、トラジャコーヒーがこれからも多くの人々に愛され、その味わいが続いていくことを心から願っています。そして、コーヒー革命の旗手として、トラジャとキーコーヒーがどのような新しい価値を世界に提供していくのか、これからの展開に期待が高まるばかりです。
https://www.keycoffee.co.jp/toarcotoraja/
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