インドネシアでの生活は、多様な生き物との出会いに満ちています。特にヤモリは、ホテルや一般家庭でよく目にする生き物の一つです。今回は、幸運のシンボルとされる「トッケイ」についてご紹介します。
まず、ヤモリには様々な種類がいますが、一般的なのは「チチャッ」(cecak)とその大型版「トッケイ」(tokek)です。
「チチャッ」は家の中で頻繁に見かける小さなヤモリです。よく壁に張り付いていて、素早く移動するので、捕まえるのは困難です。家の中にいる虫を食べてくれるので、ありがたい存在です。
「トッケイ」はその大型バージョンです。
トッケイは、ブルーグレーと赤オレンジ色の斑点が特徴的な色鮮やかな体を持っています。大きな目と黒い口内が特徴的で、全長は約30cmにもなります。夜行性で、建物の壁を動き回りながら生活しています。インドネシアではとても身近な動物です。
「トッケイ」「ゲッコウ(Gekko)」という鳴き声が名前の由来で、東南アジア一帯に分布しています。暗くなると、「トッケイ」という大きな声が聞こえます。
夜になると鳴き出すため、身近にいることが多いのですが、正体はみかけることはあまりありません。どこからともなく、大きな鳴き声だけ響くので、怖い感じもします。
鳴き声は求愛行動の一環であるとされ、メスも鳴くことが知られています。
インドネシアで過ごしていると、この「トッケイ、トッケイ」という大きな鳴き声に気づくはずです。トッケイは、本当に特徴的な鳴き声を出します。トッケイヤモリはお腹を膨らまして、「トッケイ!」と大きな鳴き声を出し、その声はヤモリとは思えないほど、鳥が鳴いているように森中に響き渡ります。鳴き始めると連続するので、とてもうるさいこともあります。
インドネシアでは、トッケイの鳴き声には様々な意味が込められています。例えば、1回鳴くと仕事での成功、7回続けて鳴くと幸運が来る、といった言い伝えもあり重宝されています。
1回鳴く:シダ・カリヤ(Sida Karya)、仕事での成功を意味します。
2回鳴く:ヌム・アシ(Nemu Asih)、互いに愛し合うことを意味します。
3回鳴く:スウン・ケパンギ(Suwung Kepanggih)、孤独に出会うことを意味します。
4回鳴く:メヌムレドゥ(Menemuredut)、共に苦難に遭遇することを意味します。
5回鳴く:サンギン・スカ(Sangging Suka)、幸福を得ることを意味します。
6回鳴く:センカラ・ゲリン(Sengkala Gering)、災難を意味します。
7回鳴く:ヌム・アユ(Nemu Ayu)、善を得ることを意味します。
8回鳴く:アラ・ゲリン(Ala Gering)、悪を得ることを意味します。
9回鳴く:センサラ・バラ(Sengsara Bara)、終わりのない苦悩を意味します。
10回鳴く:ワリヤグナ(Wiryaguna)、非常に役立つことを意味します。
11回鳴く:キラン・セカヤ(Kirang Sekaya)、財産の不足を意味します。
12回鳴く:メウェ・ケパンギ(Meweh Kepanggih)、苦難に遭遇することを意味します。
13回鳴く:ラバ・ブクティ(Laba Bhukti)、利益を得ることを意味します。
14回鳴く:セタタ・ウユト(Setata Uyut)、常に争いがあることを意味します。
15回鳴く:アラ・ダハト(Ala Dahat)、非常に悪いことを意味します。
しかし、インドネシアの各地域ではトッケイの声の解釈が異なります。特にジャワでは、鳴き声の奇数と偶数で吉凶を占う習慣があり、奇数回鳴くと良い意味、偶数回で悪い意味とされています。
インドネシアでは、トッケイやヤモリはただの生き物ではなく、文化や伝統の中に深く根ざしています。このように、夜鳴くトッケイとヤモリは、単なる生き物以上の存在であり、彼らの生態や伝説は地域の人々にとって特別な意味を持っています。
インドネシアに来たら、夜トッケイの鳴き声を耳にすることがあれば、ぜひ回数を数えてみて幸運を占ってみてはいかがでしょうか。