トラベルコリドーで渡航者緩和の動き
2020年10月1日から日本への入国制限措置が緩和され、中長期の在留資格を持つ外国人の日本への入国が認められるのを受けて、早速留学生などが成田空港から入国してきました。徐々に外国との往来も開放されていくのでしょう。
一方、インドネシアへの渡航については、10月1日現在、外国人によるインドネシア入国及びインネシアでのトランジットを原則禁止のままです。
例外として、一時滞在許可(KITAS)・定住許可(KITAP)を保持する外国人、外交・公用査証保持者、医療・食料関係者等は条件付きにて入国を許可するような限定的なものとなっています。
インドネシアは、ビジネス目的の渡航者を対象に、相互に入国制限を緩和するいわゆる「トラベル・コリドー」を導入することで合意したそうです。
既にアラブ首長国連邦(UAE)と韓国とは導入済で、中国とは早期の導入を目指すとのことです。
コロナ禍からの経済復活を模索する企業や各国政府の関心を集めています。
「トラベルコリドー」とは
「コリドー」という英語は、各部をつなぐ廊下や回廊などを指します。
「トラベルバブル」「エアブリッジ」などとも言われ、政府間の合意の下、相互の旅行者が厳しい検疫なしで、相互国合意の域内旅行つまり、相手の国に旅行できるというものです。
社会的、経済的に結びつきの強い隣国が、ひとつの大きな「回廊」の中に入り、その枠組みの中で新型コロナ感染を防止しつつ、相互の渡航制限の緩和を目指す考え方です。
このように、自国の国内需要に頼るのみにとどまらず、安全を確保した国同士が「トラベルコリドー」を形成し検閲の手続きを省くなど、手を組む事例が出てきています。
構想が実現すれば、両国の居住者は検疫なしで二国間を自由に移動できるようになります。
観光産業再開への期待
いまだウイルスと戦っている国とそうでない国があり、感染リスクの高い地域からの旅行者が、コロナ第二波をもたらすことが警戒されている現状を考えると、安全な国同士がこのように協定を結ぶことで、観光産業の再開につながる可能性があります。
シンプルですが洗練された良いアイデアと言えます。
プロモーションという側面においても、国境を越えてより広域で観光客誘致にともに取り組む試みは、ロシア・フィンランド間 などでみられます。
たとえば日本もアジアの国や都市と手を組み、一緒にプロモーションを行うなども、検討の価値があるかもしれません。
早く海外出張や観光旅行に行きたい旅行者からの期待が高まる中、感染拡大に慎重な姿勢ではありますが、経済復興や観光需要回帰に向けた、安全に守られた「回廊」の実現には、技術面や運用面、そして政治的に難しい問題がたくさんありそうです。
安全だが制限も
世界各地で、渡航制限の解除が始まっていますが、同時に、ウイルスが持ち込まれ、再び感染拡大が起きることも危惧されています。
当然、各国政府は、国境管理を徹底しながらの外客受け入れ再開を目指すことになるでしょう。
2021年の東京オリンピック開催に向けた国境開放の動きも活発となってくるのでしょう。
2020年を境に、これからの海外ビジネス渡航や旅行は、あらゆる面で今までとは違う制限がでてきていますが、自由な世界移動が可能になるのはいつになるのでしょうか。