インドネシアの観光産業は、2020年から2022年にかけての新型コロナウイルス感染症の拡大による厳しい状況から脱却しつつあります。中央統計庁(BPS)のデータに基づくと、2023年を通じてインドネシアは外国人観光客または旅行者から1,167万人の訪問者を迎えました。この数字は2022年と比較してほぼ2倍、または98.2%の増加を示しています。インドネシアでは観光地の整備と開発、イベントの開催などを行い、海外からの観光客の誘致に力を入れています。2023年の訪問者増加は政府が取り組んできた観光振興策の成果として高く評価されています。
2020年から2022年にかけての新型コロナウイルス感染症は世界中の観光業界に深刻な影響を及ぼしました。インドネシアも例外ではなく、外国人観光客の数が激減しました。この期間、インドネシア政府と観光業界はパンデミックの影響を緩和するためにさまざまな対策を講じましたが、観光産業は大きな打撃を受けました。一方、2022年1月から12月までにインドネシアを訪れた外国人観光客の数はわずか588万人でした。2023年に入ると、インドネシアを訪れる外国人旅行者数は大幅に回復し、年間1,100万人を超える観光客を迎え入れることができました。この回復は政府の観光振興策や国際的な旅行制限の緩和、ワクチン接種率の向上によるものです。特に、安全な旅行環境の提供と観光地の魅力向上に注力した結果、訪問者数はパンデミック前の水準に近づいています。しかし、外国人観光客の訪問数はパンデミック前の総訪問数よりもまだ少なく、2019年の外国人観光客の総訪問数は1,611万人に達していました。
外国人訪問者の出身国として最も多いのはマレーシア、シンガポール、オーストラリアで、中国、東ティモール、インドなどがそれに続きます。オーストラリアからの観光客は143万人(12.3%)で2位、シンガポールは141万人(12.1%)で3位です。
以下は、2023年を通じてインドネシアへの訪問者数が最も多かった外国人観光客の出身国の10か国のリストです:
マレーシア: 190万人
オーストラリア: 143万人
シンガポール: 141万人
中国: 78.79万人
東ティモール: 72.86万人
インド: 60.64万人
米国: 39.23万人
韓国: 34.72万人
英国: 33.52万人
フランス: 27.37万人
外国人観光客の大部分がバリ島のイ・グスティ・ングラライ空港から入国しており、2023年の外国人観光客総数の44.94%にあたる524万人がバリ島を訪れました。
インドネシアの観光産業は、今も昔もバリ島がけん引しており、現地ではオーバーツーリズムが問題になっています。一方で、地方にはバリ島に匹敵する魅力と大きなポテンシャルを持ちながら、インフラが整わず観光産業の発展に繋げられていない地域が多数存在します。
インドネシア政府は、「10 Bali Baru(10の新しいバリ)」プログラムを進め、バリ島に次ぐ新しい観光地を開発しています。その一環として、トバ湖、ボロブドゥール遺跡、マンダリカ、ラブハンバジョ、リクパンの5つの観光地をDestinasi Super Prioritas(スーパープライオリティ・デスティネーション)に指定し、開発やイベントの開催、観光客の誘致を実施しています。
ボロブドゥール遺跡、コモド国立公園など、インドネシアには世界的に有名な観光地が数多くあります。これらの地域は、自然の美しさ、文化的遺産、ユニークな体験を提供し、多くの外国人観光客を魅了しています。2023年の観光客数増加は、これらの魅力的な観光地が大きな役割を果たしました。
観光客誘致に力を入れるインドネシアにとって、外国人訪問者数がコロナ禍前の水準に戻ったことは喜ばしいニュースです。一方で、観光客が急増したり特定の地域に集中しすぎることの弊害も無視できません。
インドネシアの観光業は、2023年に1,100万人を超える外国人旅行者を迎え、パンデミック後の顕著な回復を遂げました。政府の積極的な観光振興策、ビザの緩和、そして世界的に有名な観光地の魅力が、この回復を支えています。しかし、オーバーツーリズムや地方のインフラ整備の遅れなど、解決すべき課題も残っています。インドネシア政府は、持続可能な観光産業の発展を目指しています。これらの取り組みが、インドネシア観光の新たな未来を切り開くことになるでしょう。