おいしい日本食の代表がうなぎです。一時帰国中に、おいしいうなぎを食べながら、うなぎを通じて日本とインドネシアの食文化と伝統がどのように異なる風味を生み出しているかを紹介します。特に、三重県四日市で体験した絶品のうなぎの味と、遠く離れたインドネシアのうなぎ料理の特徴を比較してみたいと思います。
四日市にある「きのみや」は、地元でも評判のうなぎ専門店です。
ここのうなぎは、関西風にぱりっと焼き上げられた皮と、柔らかくてジューシーな身が特徴です。関西風のうなぎは、シンプルな調理法とは裏腹に、深い味わいと独特の食感が楽しめます。ここのうな丼は、特製のタレで味付けされたうなぎがふっくらとご飯の上にのせられており、その一口が至福の時を約束してくれます。
関西風のうなぎの調理方法では、まずうなぎの腹を開いて内臓を取り除き、ぬめりをきれいに洗い流します。その後、竹串を使ってうなぎを丁寧に串刺しにし、高温で炭火の上で焼きます。このとき、皮の部分に焦げ目がつくまで何度もひっくり返しながら焼き上げることで、皮は外はカリカリに、内は柔らかく仕上がります。この処理により、うなぎの旨味が凝縮され、特有の風味が引き立ちます。
うなぎを味わう料理としては、「うな丼」が特に人気です。うな丼は、焼き上げたうなぎをごはんの上に乗せ、特製のタレで味付けしたものです。このタレは、通常、醤油、みりん、砂糖、酒を組み合わせて作られ、独特の甘辛さがうなぎの風味を一層引き立てます。うなぎの皮が提供するぱりっとした食感と、柔らかな身の味わいが絶妙に合わさり、ご飯との相性も抜群です。
インドネシアでは、belut(タウナギ)が一般的であり、地域によって様々なスパイスと共に煮込まれることが多いです。一方、sidat(ビカーラ種)とも呼ばれるうなぎは、あまり料理に使われることはありません。タナウナギは、ウナギの生臭さを取り除くために、ココナッツミルクやレモングラス、ニンニクなどが加えられたスパイシーな煮込みで、豊かな香りと強い味が特徴です。風味を加えるために、通常、ゴーヤ、キャッサバの葉、シダの葉、ジャングルなどを入れます。うなぎカレーには野菜も添えています。食べてみると、とても香ばしくて美味しいです。
日本とインドネシアのうなぎ料理の違いは、単に調理法にとどまらず、それぞれの地域の文化や食に対する哲学が反映されています。日本では、うなぎを食べることには健康や長寿への願いも込められており、特定の日(土用の丑の日)に食べる習慣があります。一方で、インドネシアでは、地元のスパイスを活かした調理法が、自然とのつながりや地域の資源を大切にする姿勢を表しています。
このように、同じ食材であるうなぎを通じて、文化の違いが如何に料理に影響を与えるかを見るのは非常に興味深いことです。四日市で味わった日本のうなぎも、インドネシアの地元料理も、それぞれの文化が生んだ美味しさの極みを表しています。どちらのうなぎも一度は味わってみる価値があります。それぞれの地で、うなぎがいかにして特別な料理とされているのかを知ることで、食の多様性と文化の深さがより一層感じられてきますね。