インドネシアでは東南アジア最悪の感染者を出していますが、感染者拡大に歯止めがかかっておらずワクチン接種が頼みの綱となっています。
これまで500万人以上にワクチン接種が進んでいますが、ワクチン接種に向け色々な問題が起きているようです。ワクチンに関する混乱についてまとめます。
インドネシアでは、医療従事者や公務員などを優先して接種を行っていますが、ソーシャルメディアで影響力のあるインフルエンサーにも優先しています。
ワクチン接種を誰に優先的に投与するかを決めるのに、インスタグラムやYouTubeのフォロワー数で決めているというのです。
インフルエンサーがワクチンを接種して、何百万人ものフォロワーに発信する事で、ワクチンに懐疑的な人々を説得できるとの期待があるからだそうです。
しかし、新型コロナに関しては、医療従事者や研究者と違い、著名人の情報を信頼している人は少なく、インフルエンサーへの優先接種頼みは奏功しなそうです。
インドネシアでは、今年は4月12日からラマダン(断食)になります。インドネシアの約88%がイスラム教であるため、ほとんどもムスリムが約1ヶ月間の断食を行います。日が昇っている間は、飲食や喫煙を絶ち、信仰心を高めるのですが、ワクチン接種は、体内に液体を注入するため、どうなのという議論が巻き起こりました。
イスラム学者会議(MUI)は、ファトワと言われる宗教見解を示し、ワクチン接種は口や鼻を通じず、筋肉に注射を打つため、許容されるとしました。
これで、断食中でも、ワクチン接種が継続して行われるようです。
現在、インドネシアでは中国シノバック社製のワクチンの接種が開始されていますが、人口の多いインドネシアでは、中国製のワクチンだけでは足りないと、英国アストラゼネカ社製ワクチンの緊急使用を許可しました。
そのアストラゼネカ製ワクチン接種を3月22日から開始しようとしていたら、イスラム学者会議(MUI)が、ワクチン成分の中に豚に由来する成分が含まれていることを明らかにして、イスラム教が禁ずる「ハラムである」とファトワを出しました。
これにより、インドネシアのワクチン対策は大きな混乱となっているようです。
アストラゼネカ製のワクチンは、血栓ができるとの副反応も指摘されていますが、イスラム教の多いインドネシア国民にとって、副反応よりも、イスラム教徒が接種できるワクチンなのかが重要な問題なのです。
イスラム学者会議(MUI)は、アストラゼネカ製ワクチンはハラムであるが、使用しても良いと見解を示しました。政府がコロナ対策推進しているワクチン接種を妨害していると反発される事を懸念したと言うのです。
ハラムだけで使用可能という、前代未聞のファトワをだしたおかげで、国民の間で混乱が生じていて、ハラル論争となりましたが、アストラゼネカ製ワクチンもコロナ対策に必要なものなので、国民に理解を求める声明を出しました。
インドネシアでは生命か宗教かワクチン狂騒曲に揺れる日々がまだ続きそうです。