ジャカルタとバンドンを結ぶ高速鉄道「WHOOSH」は、インドネシア国内でも最先端の交通手段として人気を集めています。ファーストクラスに乗車し、その快適さとスピード感を味わうことができました。高級感あふれる座席、静かで滑らかな乗り心地、そして時速350kmでの移動という特別な体験。まるで飛行機のファーストクラスで過ごすような豪華なひとときに変わる瞬間をお伝えします。
ジャカルタのハリム駅から出発した高速鉄道は、出発時から驚くほど静かでスムーズな乗り心地です。走行音もほとんど聞こえず、車両全体が非常に安定していて、揺れを感じることがほとんどありません。ファーストクラスの座席に座っていると、まるでレールの上を滑るように動き出し、他の交通手段では味わえない特別な旅が始まるのを感じます。
ファーストクラスの座席は、幅広のリクライニングシートで、足元のスペースも十分に確保されています。座席の質感は上質なレザー素材で、シート自体がしっかりしているため、長時間座っていても疲れにくい設計です。さらに、各座席には電源コンセントが備わっており、移動中にデバイスの充電も可能です。
出発してしばらくすると、パーサーがファーストクラスの乗客一人一人に、パンとお菓子が詰まった袋を配布してくれました。
袋の中には、ガルーダインドネシア航空の機内食を手がけるエアロフーズASCが提供する軽食セットが入っています。
柔らかいパン、豆菓子、チョコレート、おしぼりが入ったセットは、手軽に食べられ、移動中のお腹を満たしてくれます。パンの香りはほんのり甘く、ふわっとした食感が心地よく、移動中の軽食としてはちょうどいい量です。車窓を眺めながらこの軽食を楽しむ時間は、ちょっとした優雅なひとときでした。
ブカシ、チカランあたりを過ぎてしばらくすると、列車はさらに速度を上げていきます。ファーストクラスの座席前方には速度を表示する掲示板が設置されており、現在のスピードがリアルタイムで表示されます。最初はゆっくりとした速度で走行していた列車も、次第にスピードが上がり、時速200km、300kmと加速していくのが目に見える形でわかります。
カラワン駅を通過したあたりから、最高速度350km/hに近づくと、列車内の掲示板は348km/hを表示していました。わずかに350km/hには届きませんでしたが、そのスピード感は圧倒的です。外の景色は、まるで流れるように次々と変わり、都会の建物が瞬く間に過ぎ去り、田園風景や山々が広がり始めます。この速度で走行していても、ファーストクラスの車内は静かで、シートに座っているとスピードを感じさせないほどの安定感があります。揺れもほとんど感じることがなく、快適そのものです。
ファーストクラスの座席は、他のクラスとは一線を画す快適さです。シートは深くリクライニングでき、足元にはレッグレストがあり、飛行機のビジネスクラスのように、リラックスした姿勢で過ごすことができます。シートの幅も広く、隣の乗客との距離がしっかりと確保されているため、プライバシーを保ちながら過ごせるのが嬉しいポイントです。
ハリム駅を出発してからわずか30分、列車はあっという間にパダララン駅に到着します。この駅は、バンドン方面へ向かうほとんどの乗客が在来線に乗り換える重要なポイントです。パダララン駅で在来線フィーダー列車に乗り換えれば、バンドン市内へ簡単にアクセスすることができます。
パダララン駅に到着した際、9割以上の乗客が降車して、バンドン方面へと向かいました。終点のテガルアール駅まで行く乗客はほとんどいませんが、この駅での乗り換えは非常にスムーズに行われ、移動のストレスを感じさせませんでした。列車が到着してから数分で在来線に乗り換えられるため、移動時間も最小限に抑えられています。
高速鉄道のファーストクラスは、ただの移動手段ではなく、乗車そのものが特別な体験となる空間でした。静かで快適な乗り心地、丁寧なサービス、広々とした座席と充実した設備のすべてが、移動中に贅沢な時間を提供してくれます。60万ルピア(約5,500円)という運賃は、プレミアムエコノミーの2倍の価格ですが、その価値は十分に感じられるものでした。特に、ラウンジアクセスや優先搭乗といった特典を考えると、短い移動時間でもファーストクラスを選ぶメリットは大きいです。次回バンドンへ行く際も、このファーストクラスの座席で、また贅沢な時間を楽しみたいと思わせてくれる素晴らしい旅でした。