山口県下関での出張を無事に終えた翌朝。今度は山口宇部空港から羽田空港へ飛び、東京での打ち合わせに合流するというスケジュールが始まります。せっかく下関に来たのだから、ちょっとゆっくり観光気分も味わいたいのですが、日本への一時帰国のスケジュールはタイト。早朝からの移動となるため、下関駅から宇部空港へのルートをしっかり下調べして出発に備えます。今回は、ローカル線を乗り継いで空港に到着し羽田空港まで飛ぶ様子をお伝えします。
下関での商談を終え、一泊したのは東横イン下関海峡ゆめタワー前。
全国展開している東横インは、設備の統一感とリーズナブルな価格で出張者にも大人気です。下関の東横インも需要が高いらしく、予約が取りづらいことも多いようですが、今回は運よく空き部屋を確保できました。部屋に入ると、他の東横インと同じようにベッドや机、ミニ冷蔵庫など必要最低限の備品が整っており、Wifiも無料。フロントスタッフの対応も安定していて、自動チェックインなどにもスムーズに対応できます。隣接するエリアは居酒屋やスナックが点在する歓楽街になっていて、地元の海の幸を手軽に楽しめるのが、下関ならではの魅力でした。
下関と言えば海産物がおいしいお店がたくさんあります。東横インの裏手にある小さな居酒屋に訪問。刺身の盛り合わせや煮魚など、新鮮な魚が味わえて大当たり。
味付けもしっかりしているし、インドネシア滞在ではなかなか口にできないような和食の繊細な味に感動しました。
翌朝に備えてあまり夜更かしはしないつもりでしたが、美味しさに誘われてついお酒も進み、下関の夜を満喫しました。
翌朝、東京への移動を考慮して、まだ薄暗いうちにホテルをチェックアウト。下関は本州の西端にあり、三方を海に囲まれている地形のため、冬になると海風がダイレクトに吹き付けて、とても寒く感じます。この日は雪予報も出ており、実際に寒さが一段と厳しい朝。
東横インを出て数分歩いたら、すでに指先がかじかむような冷気に襲われました。厚着したつもりでも足りず、「もう少し温かい服装を準備しておけばよかった」と少し後悔。周囲の通勤・通学の人たちも、厚手のコートやマフラーをまとって小走りに駅へ向かっており、この地方ならではの冬の朝の空気が漂います。
下関駅は改札口周辺こそ明るい照明がありますが、早朝のため人影はまばら。朝食をとれるような店も開いていない状況なので、軽くコンビニで暖かいコーヒーとパンだけ買い、ホームへ向かいました。
ローカル線特有の静まり返った雰囲気が漂うなか、既に電車が停車しているホームを見つけて、一安心。6時22分の電車で山陽本線に乗り込み、宇部駅を目指します。今回の目的地は宇部空港ですが、調べたところバスで行くと3,000円かかるのに対し、電車なら990円。しかもローカル電車に乗るチャンスは少ないので、旅情を楽しむためにもこのルートを選択しました。
電車に乗り込むと、車内には通学途中の高校生がどっと乗り込んでおり、結構な満員状態に。都会で見かけるようなラッシュほどではないものの、座席にはすでに人がぎっしり。レトロな車両がゴトゴトと動き出し、海沿いを少し離れて山間や町中を抜けていきます。1時間弱の乗車ですが、車窓からは山口県ののどかな風景が続きます。時折見える港町の風景や昔ながらの商店街に、地元の暮らしを垣間見る感じがして面白い。外はどんより曇っていて、本格的に雪が降り出す前に空港へ着いてしまいたい気持ちが高まります。
朝の通勤ラッシュで賑わう車内を降り、宇部駅で下車。ここで宇部線へ乗り換え、草江駅まで行くというステップに。宇部駅は山陽本線に比べてローカル路線の利用者も多いのか、乗り換え改札付近は人が行き交っていて意外と活気があります。宇部線は本当にのどかなローカル感があり、車両はワンマン運転で扉の開け閉めも手動になっている箇所があるなど、都市部では見られない光景。
乗客も地元住民が中心で、子ども連れのお母さんや年配の方が当たり前のように使っている様子。30分ほど揺られていると、草江駅に到着。
下車したホームは小さく、改札がない無人駅のため、本当にここで大丈夫かと一瞬不安になるほど。しかし、看板を見ると「宇部空港方面」とあり、空港の建物らしきものが海沿いにちらりと見えたので間違いなさそう。
草江駅を出て数分歩きはじめると、冷たい北風が吹きつけ、雪がちらほら降り始めたのには驚きました。多少の雨は覚悟していたけれど、まさか雪になるとは。
「急いで空港にたどり着かないと凍えてしまう…」と思い、やや早足でターミナルを目指します。外気との温度差が激しいおかげで、到着口に入った瞬間の暖房の心地よさが何ともありがたいです。
東横インを6時に出発して約2時間。乗り換えこそあるものの、ほぼ待ち時間なくスムーズに移動できたのが大きかったです。宇部空港のターミナルに入ると、意外とコンパクトながらもカフェや売店など一通りの施設が整っていましたが、まだ朝一番の出発便の時間帯まで時間があるせいか空港内は閑散としています。
10時発のJAL便に搭乗予定なので、まだ2時間もあるため、空港内を見学したりお土産を物色したり、余裕を持って過ごせるのがうれしいところ。雪がさらに強まりつつあり、「もし電車が遅延していたらどうなっていたんだろう」と少しヒヤッとしながらも、「とりあえず間に合って良かった」と胸をなで下ろしました。
山口宇部空港のターミナルを巡っていると、保安検査を受ける前の一般エリアに「ラウンジきらら」を発見。普段使う大都市空港のラウンジとは違い、地元の雰囲気が感じられる落ち着いたスペース。
ちょうどオープンしたばかりなのか、誰もおらず「1番乗りですよ」と受付で言われました。
ドリンクはコーヒーや紅茶のほか、地元牛乳や夏みかんジュースなどが用意されていて珍しいラインナップ。気温が低い外とは打って変わって暖房が効いているので、窓越しに雪が降りしきる様子を見ながら熱いコーヒーを飲む時間は何とも贅沢。
ローカル空港ならではの“アットホーム”なラウンジ体験にほっこりしました。ラウンジの窓から見える外の景色は相変わらずの雪模様で、風も強そう。
こんな天気なら、さらに早めに来て正解だったと再認識しました。バスや電車の運行状況も気になりますが、もう空港に到着しているのでその心配は不要。雪がやんだら展望デッキに行こうという気持ちに切り替え、ラウンジで身体を温めつつ、時間を過ごします。
しばらくして雪が少し落ち着いたので、展望デッキへ出てみることに。外に出るとやはり風が刺すように冷たく、長時間はとても無理。ちょうどスターフライヤーが羽田から到着する時刻で、白と黒のシックな機体が滑り込む姿が見えました。
1日数便しかない空港だけに、見学するだけでワクワクする貴重な体験です。一方で、私が乗る10時発JAL便は若干遅れ気味とのアナウンス。雪の影響を考慮してのことかもしれませんが、何とか大幅な遅延にはならなさそう。寒さに耐えきれず、すぐに展望デッキを後にしてターミナル内の暖かい空間へ戻りました。
荷物検査を通過し、制限エリアへ。するとほどなくして「JAL292便搭乗開始」のアナウンスが流れ、時間通りに移動開始。
機材はB737-800(JA320J)で、今回非常口席の窓側を指定できたため、足元が広くゆったり座れるのはラッキーでした。
周囲の乗客が皆スムーズに搭乗したおかげか、10時10分にはドアクローズ。10時20分には無事離陸となりました。
外の雪景色が消えていく中、雲を抜けて青空へ突入すると、機は偏西風を乗りこなしながら時速1,167km/hもの対地速度をたたき出します。
窓を見下ろすと、北九州や瀬戸内海あたりが広がっていそうですが揺れは少なく快適なフライトです。
思ったよりも早いタイミングで到着が見えてきます。結局1時間10分ほどで羽田空港へタッチダウン。
まだ昼前で、東京の気温は山口ほどの寒さではないにせよ、やはり冷え込みを感じる冬の日。
疲れを感じる間もなく、早くも次の目的地である都内の打ち合わせへ向かいたいと思います。